2002年1月21日
ダラムサラ(チベット亡命政権 情報・国際関係省)
1995年9月にチベットのシガツェで逮捕されたチベット人民族音楽家のンガワン・チョペルは、中国当局により医療目的で釈放された。彼は、チベットで伝統芸術をフィルムに収めていた際、スパイ容疑で18年の懲役刑を求刑され、そのうち6年以上刑に服していたところだった。チョペルは、1月20日午前10時48分、デトロイトに到着した。
36歳になる亡命チベット人のチョペルは、1993年と1994年のフルブライト奨学生として、米・バーモント州のミドルバリー・カレッジに通学し、その後、伝統舞台芸術のドキュメンタリーを撮るため、チベットに戻った。そして、そこで中国政府により、「分離主義的活動」に加担した容疑で拘留された。
チベット支援グループ、人権団体、諸外国政府及び国会議員らは、力強くチョペルの釈放を要求してきた。米国議会バーモント州代表団からの再三のチョペルの健康についての問い合わせに対して、中国大使館は1999年10月、チョペルが極度の栄養不良に苦しんでいると報告してきた。
外交的に切り札であるチベット囚人のチョペルは、多くの中国の政治囚が重要な外交行事に先だって治療目的で釈放されたように、刑期を終える前に釈放された。2月21日と22日に予定されているブッシュ大統領の訪中の5週間ほど前にチョペルは釈放されたのだが、これはまた、国際社会が3月20日にジュネーブで行われる国連の人権委員会定例会に向けて中国の人権状況について調査していることも関係しているだろう。
チョペルは、米・内務省関係者ひとりと面会し、医薬品など緊急必需品をチョペルに調達してきたインターナショナル・キャンペーン・フォア・チベットの代表者たちのもとに身柄を引き渡された。米・内務省は、ダライ・ラマ法王の特別公使を通して、チョペル到着のための準備をすすめてきた。
チベット亡命政権は、チョペルの治療目的のこの釈放を歓迎し、中国政府に対して、チャデル・リンポチェ、ンガワン・サンドル、タナク・ジグメ・サンポ、そして世界で最年少の政治囚パンチェン・ラマを含む、信条やしばしば単なる自由やチベット人の人権を非暴力的に要求しただけで中国で投獄されている数百の政治囚を釈放するよう呼び掛けた。