2018年2月22日
日本、大阪
一週間にわたる日本滞在の最終日、中央チベット政権のロブサン・センゲ主席大臣は、大阪市内の会場を埋め尽くした250名の聴衆に向けて講演を行い、自由・人権・民主主義を求めて非暴力で闘い続けているチベット人に対する日本の支援を称えた。この講演会は「雪の下の炎の会」が主催したもので、講演はチベット語で行われた。通訳は清風学園の平岡宏一校長が務め、自民党議員で日本チベット国会議員連盟事務局長の長尾敬氏も登壇した。
センゲ主席大臣は、「中国の習近平総書記(国家主席)が中国共産党第19回全国代表大会において『新時代における中国の特色ある社会主義』を宣言したことは、一党支配を強化するものであり、民主主義と自由に対する重大な脅威である」と語った。そして、中国がチベットを侵略した際に世界中が無関心であったことが、世界の国々の主権を踏みにじる行為へと中国を勢いづかせたとして、次のように語った。
「これはチベットで始まったことですが、皆さんで終わるのです。つまり、この世界にもはや選択の余地はないということです。中国をリベラルな民主主義国家に変えるか、逆に、中国に変えられて支配されるかなのです」
「中国政府は世界中の国々にきわめて大きな圧力をかけています。南アフリカも例外ではなく、私は南アフリカの法科大学で講演を行うように招かれましたが、チベットについて語ることはできませんでした。中国の介入は、オーストラリアのような自由な国々の学府にも及んでおり、中国人の学生たちは、教師がチベット問題や台湾問題、天安門事件に触れた場合には、その教師を退職に追いやることができます。オーストラリア議会はこうした中国政府の脅威に気づき、主権に関わる事柄への中国の介入に異議申し立てをするための決議案を何としても可決しなければならないと思ったのです」
「中国政府がわれわれにチベットについて語らせないようにしようとしている理由は、中国支配の背景にはチベットにおける厳しい弾圧という憂慮すべき事態があるからです。アメリカに本部を置く国際NGO団体フリーダム・ハウスは、チベットをシリアの次に自由のない地域として、最下位3カ国のひとつにランキングしています。同様に、国境なき記者団もまた、チベットを取材することは北朝鮮を取材するよりも難しいと報告しています。151人のチベット人が、中国政府の抑圧的な政策に抗議するために自分の身体に火を放っているのです。環境問題においては、チベットの河川にいくつもダムが造られたことで、その川の水を頼りに暮らしている14億のアジアの人々の命が危険に晒されています」
「日本を訪問でき、そして自由に日本人の皆さんと語り合うことができるのは、世界でも最大の超党派連盟である日本チベット国会議員連盟の皆さんが正義・自由・人権・民主主義を堅固に支持してくださっているおかげです」
「日本の皆さんと同じように、チベット人は仏教徒です。中国政府はチベットを侵略し、僧院を壊滅させましたが、チベット人は僧院の復興を固く信じてきました。今日、中国は世界でもっとも多くの仏教徒を有しています」
「チベットを支持することは、非暴力・対話・自由・人権・民主主義を支持することを意味します。世界は今、暴力的な紛争に悩まされ、争いを解決する方法として従うべきひな型を求めています。つまり、チベット人のように非暴力・平和・対話を求めるのか、テロリストのように暴力・斬首・交戦を求めるのかが問われているのです。チベット型を支持しないならば、それは暴力型を支持するということなのです」
主席大臣は最後に、「こうして皆さんが集まってくださったことは、中国の支配下で抑圧に苦しんでいるチベット人にとって希望や励ましとなるはずです」と聴衆にお礼を述べた。長尾敬議員は、平和・自由・民主主義は日本の国策のかなめ石であるとしたうえで、自由と正義のために非暴力で闘っているチベットの人々への支援の必要性を強調した。
そして、センゲ主席大臣が指摘したように、中国による南シナ海や東シナ海、尖閣諸島やスカボロー礁への侵入が増加していることを深く懸念していると語った。
また、日本チベット国会議員連盟の議員数は世界の超党派議員連盟の中でも最多であるので、チベットの人々が中道政策によって真の自治を享受できるよう具体的な支援をしていきたいと呼びかけた。
長尾議員は最後に、日本人が勇気を持って、中国政府の弾圧に対して非暴力で闘っているチベットの人々を断固として支持していくことの大切さを強く訴えた。
(翻訳:小池美和)