(2008年12月23日 Tibet.Net )
[ダラムサラ]12月19日から22日にかけて、ロシア国会議員、カルミキア共和国首相、カルミキア国会副議長、カルミキア宗教界の最高指導者、およびロシアとウクライナの国内・国際報道陣から成る代表団がダラムサラを訪れた。
代表団には、マリーナ・ムカベノワ議員、ヴラディーミル・マトカノフ議員、ヴァレリー・ガルチェンコ議員、カルミキア共和国のヴラディーミル・シングリーフ首相、同共和国国会のホンカー・エルビロフ副議長、および同共和国宗教界の最高指導者テロ・リンポチェが参加した。
代表団がチベット難民レセプション・センターを訪れた際、ロシアおよびウクライナの報道陣はセンター長と面談したほか、最近インドに逃れてきたチベット難民にインタビューした。
報道陣は、チベットに対する中国政府の抑圧政策を取り上げた。中国政府は本年、チベットの人々の平和的な抗議行動を強権的に取り締まった後も、こうした抑圧政策を継続している。報道陣は、インドを目指す難民がどのような苦難を乗り越えて危険な国境越えを行なわなければならないかを聴取した。また、チベット難民の子供の教育問題も取り上げられた。
インタビューの間、最近インドに逃れてきたチベット難民は、本年3月以来中国政府がチベット人の平和的な抗議行動をいかに暴力的に抑圧しているかを語った。
あるチベット人は、取締まりの最中にチベット人一家が中国当局の武装隊の手で皆殺しにされるのを目撃したと語った。このチベット人は、ゴンジョ郡(チベット自治区のチャムド県)に残してきた家族の身を案じ、匿名でインタビューに応じた。
彼はチベットにおける宗教上の自由の抑圧についても語った。ダライ・ラマ法王の肖像を持っていることがわかると禁固4年から5年の刑に処せられるという。
もう一人のチベット人は、首都ラサで行なわれたデモを目撃し、自らもデモに参加した。チベットの人々が行なった平和的なデモは、中国政府のチベット政策に対する憤りと不満から自然発生的かつ自主的に起こったものだった。
彼は、ダライ・ラマ法王が抗議行動を扇動したとする中国政府の主張をきっぱり否定した。
彼の話によれば、中国の保安当局はチベット人を無慈悲に殴打しながら拘置所に連行したという。また、収監されているチベット人は、野蛮な拷問や洗脳教育によって、肉体的に激しく消耗するばかりか精神的にもトラウマを抱え込むことになる。
彼によれば、両親は子供達に良い教育を受けさせるため、またダライ・ラマ法王の祝福を頂くために子供達をインドに送る。いずれもチベットでは叶わない望みである。
チベット人権・民主主義センターの職員は代表団に対し、中国政府がチベットで行なっている人権侵害と宗教的迫害、および、本年3月に平和的な抗議行動が暴力的に制圧された後のチベットの危機的な状況について説明した。
代表団は、チベット人がダラムサラに設立した教育、文化、医療施設を訪問した。
また、代表団はダライ・ラマ法王に拝謁した。
代表団は、亡命チベット代表者議会の議長および議員と面談するとともに、情報・国際関係省の事務局員からチベットをめぐる様々な問題について説明を受けた。
歓迎晩餐会の席上、亡命チベット代表者議会のペンパ・ツェリン議長は、この訪問はロシアとチベットの双方にとって歴史的な出来事であると述べた。
議長は、亡命チベット代表者議会議員とロシア国会議員の交流によって、政治的な問題は別として、文化および宗教の分野におけるチベットとロシアの関係が強化されることに期待を表明した。
議長は、チベットを支援することは中国に敵対することではない、という点を強調した。
議長は、今回の訪問を企画する労をとったテロ・リンポチェに謝意を表するとともに、リンポチェに対する敬意ならびに今後ともリンポチェにロシアとチベットの掛け橋となって欲しいとの期待を表明した。
(翻訳:鈴木)