(2007年9月24日 ロイター)
北京からの反対、そしてドイツ国内においても中国との交易に支障をきたすという懸念が実業界で上げられていたにも関わらず、メルケル首相はダライ・ラマ法王と会った。
チベットから亡命中の精神的指導者とドイツ首相との対面は、首相スポークスマンによれば、「私的で非公式なものだ」とのことだ。
今月(9月)初め、北京のドイツ大使は中国政府に呼ばれ、今回の対談への異議を申したてられていたが、対談は実現された。
「首相はダライ・ラマ法王を宗教的指導者だと認識しており、チベットの文化的アイデンティティを守るためにダライ・ラマ法王が払いつづけてきた努力、ならびに非暴力によって宗教的・文化的な自治を希求してきたダライ・ラマ法王の政策への支持を明確にした」とスポークスマンは述べた。
会談に先立ち、メルケル首相のスポークスマンは、ドイツは「一つの中国」政策を支持する立場を堅持することを明確にした。首相は先月(8月)、中国への公式訪問を果たしたばかりである。
中国によるチベット統治に関しては、北京政府はダライ・ラマ法王を「分離主義者」だとしてチベット仏教徒たちの信仰上の望み、特にダライ・ラマ法王へ向けられる尊敬の念を抑圧しつづけている、との批判がある。
精神的指導者であるダライ・ラマ法王は、「私は単に、(チベット)地域に、もっと大きな自治権を求めているにすぎない」と述べている。
ベルリンでの対談の前夜、ドイツ政府は、ミュンヘンで行われることになっていたブリジット・ツィプレス司法大臣を含むドイツ政府と中国との個別会合を、「技術的な理由」により中国がキャンセルした、とドイツ側から発表された。
中国外務省スポークスマンは、先週、「ダライ・ラマ法王は母国を分裂させようと目論む活動を続ける政治亡命者だ」とコメントした。
ダライ・ラマ法王は、1959年、中国の統治に反対する民衆蜂起が失敗に終わったあと、チベットからインドへ亡命した。チベット人の間では、今でも多大な尊敬を集めている。