(2003年7月6日 ロビー・バーネット)
(カトマンズ)7月6日、ネパール政府による中止命令に反し、チベットの精神的指導者ダライ・ラマを祝う歌を奏でお香を焚くために数百のチベット人がネパールのボーダーのストゥーパに集まった。こうして、ネパール警察当局によるカトマンズでのダライ・ラマの68歳の誕生日を祝う行事を中止させる試みは、歌声と歓声の中で断念することとなった。
チベット人女性たちの多くが涙を浮かべながら、警察隊と対峙した。30分に渡る緊張の後、ついに祝賀行事を中止させないよう説き伏せた。わずか20人程度の小規模のネパールの警官隊を率いる責任者は、チベット人への解散命令の執行をあきらめ、また制圧も増援部隊の要請も行わなかった。シェルパ族のリーダー達が2者の仲裁に入った。
千人近い観衆が見守る中、ストゥーパの周りで数百人のチベット人女性が民族衣装で歌と舞踏を行うさなか、チベットの尼僧が笑顔の警察官達に小麦粉などのお祝いの白い粉を振りかけるという平和的でユーモア溢れる雰囲気の中、この事態は収束した。
チベット人たちは警察による深刻な対応を避けるために、ダライ・ラマの目立つ写真や、チベット国旗の掲示を控えた。ネパール政府は過去数年間、7月6日のダライ・ラマの誕生日のような微妙な問題をはらむ記念日に、それらの掲示を禁止してきた。また、チベット人たちはストゥーパを周回する伝統儀式を行わなかった。
行事の禁止に反対している「ヒマラヤ・ネパール仏教協会」からの圧力により、ネパール政府は5日の夜に、禁止されている3つのイベントのひとつをぎりぎりになってから撤回した。ネパール政府は、チベット人とネパール人仏教徒が、当日の午前にボーダーのシェルパ寺院での祝賀行事を開催することを許可した。しかし、夕方に予定されている外交官と要人を対象としたレセプションパーティについては、いまだに禁止の対象であると思われている。
チベット人と思われる老人が、早朝、警察が行事中止を諦める前に、15名の警察官により逮捕、拘留されていると思われる。現在、この男性の所在については、確認中である。
祝賀行事は、現在もボーダーの通りで続いている。