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チャールズ、マードック、そしてドラゴン


1999年10月22日
デイリー・テレグラフ紙

チャールズ皇太子とルパート・マードック氏(写真右)の昨日の行動に注目してみよう。英国の王位継承者であるチャールズ皇太子は、火曜日にバッキンガム宮殿で催された江沢民中国国家主席の歓迎晩餐会には出席したが、中国大使館で開かれた答礼の晩餐会には姿を現さなかった。

これと対照的だったのが、ニュース・インターナショナル社の創立者、ルパート・マードック氏の行動である。最初は首相主催のダウニング街での昼食会、その次は、大英博物館で開催中の唐時代の財宝展で、彼がこの中国からの訪問者にぴったりと張り付いている姿が目撃された。ちなみに、この財宝展のスポンサーは、マードック氏のイギリスでの最大拠点であるタイムズ社である。

チャールズ皇太子は、中国のチベットへの政策に抗議して、江沢民主席からの昨晩の招待を辞退したと伝えられている。皇太子は、この虐げられている国家の精神的指導者で亡命中のダライ・ラマとの対面を果たしているが、それはジョン・メージャー前首相やダグラス・ハード前外務大臣などの政治家たちが、このチベットの指導者と勇気を出して会談する前のことである。5月には、皇太子は、ダライ・ラマをグロウスターシャーのハイグローブ宮殿へゲストとして招待している。

今週、皇太子が江沢民国家主席の1度目の晩餐会に出席して礼を尽くしたのは明らかだが、2度目の晩餐会に対しては一線を画した。これは、中華人民共和国建国50周年記念とほとんど同時期に始まり、現在まで続いているチベットへの侵略を批判しての行動と思われる。

マードック氏の見解は、いくぶん異なるようだ。今月号のヴァニティ・フェア誌のインタビュー記事で、彼はチベット問題の是非については分からないとしながらも、1950年に中国が侵略する前のチベットは、「中世から抜け出たような、恐ろしいほどに時代遅れで独裁的な社会」という彼の考えを示している。彼はまた、1度も会ったことがないダライ・ラマのことを「グッチの靴を履いた足を引きずって歩き回る、非常に頭の古い、政治に関心を持つ僧侶」と切り捨てている。

このインタビューは、メディア王として知られるマードック氏が中国側の感情を損うまいといかに神経質になっているかを、裏付けるものにすぎない。香港のスターTV衛生放送会社を買収した後、マードック氏は中国でのBBCの番組放映を取り止めにしているが、その理由はBBCが1989年の天安門事件を報道したからである。昨年、自分が所有するハーパー・コリンズ社に、クリス・パッテン前香港領事が香港で経験した中国人との駆け引きについて語った著作、「東と西 East and West」の出版を見合わせるよう命令も下している。

マードック氏の中国に対するへつらいはこれだけではない。

月曜日、タイムズ社は、コラムニストのロード・レスモグの江沢民国家主席に対する白々しいほど好意的なインタビュー記事を掲載した。ロードは、インタビューの中で、江沢民主席を「生まれつきの調停者」としてアイゼンハワーになぞらえ、「江沢民主席がダライ・ラマとの和平を実現するだろう」と述べた。

火曜日には、台湾に関する特別レポートが掲載される予定だったが、国賓である江沢民主席が出国するまで延期された。中国が、台湾を国策に背いた領域と見なしていることを考えると理由は明らかである。水曜日には、タイムズ紙の第1面には、モールでのチベット支援デモを撮影した写真の代わりに、女王と江沢民国家主席の写真が掲載された。

マードック氏は、中国市場からの利益を当てにして、忌まわしい中国政府の歓心を買うことを選択した。マードック氏所有のメディアにより、絶えまなく中傷される英国王室の1員であるチャールズ皇太子は、「極悪人との会食は1度で充分」と判断した。レーニンは、「有用な愚か者」という痛烈な言葉を残しているが、中国がこの2人のどちらがこれに当てはまると判断するかは、明白であろう。