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チャクサム・パの新しいCD発売

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2002年1月31日

昨年5月の東京ベイNKホールで行われたチベタン・フリーダム・コンサートに出演した、チベット人ミュージックグループ「チャクサム・パ」が新しいCDを発売しました。

2001年12月、サンフランシスコに拠点を置くチャクサム・パ(Chaksam-pa チベタンダンス&オペラカンパニー)は、またまた音楽の贈り物を、新作のCD『Pha Yul(パ・ユル)』(「祖国」の意。パ=父、ユル=国)という形で、世界へ送り出した。

この見事にプロデュースされた多様なチベット音楽のコレクションには、7曲の新曲と6曲のクラシカルなトェ・シェー(To Shay 民間音楽) ,ナンマ(Nangma 宮廷音楽)の歌が含まれる。新旧取り混ぜた興味深い構成は、チベット伝統音楽の創造と存続の両方に取り組むチャクサム・パの絶え間ない努力を反映する。この2面性のある仕事は、才能ある5人のメンバーにまさにうってつけである。なぜなら、彼らは北米で「二重亡命者」としての生活を送り、21世紀に特有の人生問題に取り組むとともに、ダラムサラのチベット舞台芸術学院(TIPA)のパフォーマー兼教師でもあったからだ。

人気のあったチベタン・レビューの故エディター、ツェリン・ワンギャルに捧げられた『パ・ユル』は、伝統的なチベット文化を大切にしながら、現代における創造性と批判的精神の重要性をも理解する人達にふさわしい一枚となっている。伝統的なナンマの歌は、チャクサム・パ リーダー、シャズル・タシ・ドゥンドゥプ(家族、友人、ファンには「テチュン」として知られている)が故宮廷音楽家、ギャルポン・パサン・ドゥンドゥプから伝授されたもの。全新曲がカナダのソナム・タシによって作曲され、歌詞はソナム・タシとタシ・ドゥンドゥプによる。チャクサム・パの結成メンバーの他、ニマ・ギャルポ、ツェリン・ドルマ、ツェリン・ユードゥンもアルバムに参加している。5人組みは素晴らしい歌声とチベットの伝統楽器(ダニェン・ギュマン・ピワン・テェリン・ンガ・エルカ)の妙技をリスナーに聞かせてくれる。

12月にカリフォルニア州バークレーで開かれたCDリリースパーティでは、「パ・ユル」のほとんどの曲がライブ演奏され、その場でCDが飛ぶように売れた。聴衆に特に受けたのはキャッチーな新曲「L.A. Bumo(Los Angeles Girl)」で、ドライブ感のあるビートにフルートがバックに流れる。「僕らの曲のうち、ラジオで流され、有名にしてくれるのは」テチュンは聴衆に言う「この曲だろう!」。実際、聴衆が帰るときに口ずさんでいたのはこの曲だった。

別の曲、「Nor Boe Lungtren」(Norway Tibetan Radio)では、自分たちの曲がノルウェー・チベタン・ラジオでかかってほしいという願望が表現されている。故郷を切望しながらもカルマによって外国で暮らす運命をたどる者たちにとって、ノルウェー・チベタン・ラジオは真実を伝えてくれる名高い情報源だ。CDのクラッシックな曲の演奏には優雅さと誠実さがある。新しい曲と伝統的なナンバーの間の転調がこれほどスムーズなのはチャクサム・パの功績であろう。

「パ・ユル」がチャクサム・パの過去のレコーディング(1991年のカセット「Rainbow Tibetan hjah」と1999年のCD「Renewal」)と比べて大きく異なるのは、この新しいCDが完全に、チャクサム・パの結成者シャズル・タシが所有・運営するLong Sho Studioで録音されたことにある。優れたレコーディングに必要な技術的知識と機器を獲得したことにより、録音スタジオにコネを持つ寛大な西洋の友に頼る必要はなくなった。自分たちでデザインしたアルバムカバーとライナーノーツはとても魅力的で情報にも富む。独立性を獲得したことで、グループは自由にCDを制作し、次から次へと作品を生み出すことだろう。

チャクサム・パには10年の歴史がある。素晴らしいリサーチ、レコーディング、演奏を達成し、数々の晴れ舞台を経験してきた。その中にはチベットハウスが資金集めによって毎年開催するカーネギーホールでのコンサートとワシントンDCのスミソニアン・フォーク・ライフ・フェスティバルへの参加が含まれる。彼らの新しいCD「パ・ユル」は、グループの主題句「Songs Silenced in the Home」、「Hope Sustained in Exile」が伝える悲しさと楽観的な確信の両方をより深く肯定している。このような作品だからこそ、「パ・ユル」はチベット文化の存続に関心を持つチベット人と西洋人のリスナーを鼓舞し、特にチベットの若い人々を奮い立たせる。チャクサム・パのメンバーは、チベットの若い人たちがチベットの伝統的な数々の歌、音楽、ダンスを習うことにどんどん興味を持ってほしいと望んでいる。