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チベット自治区 新たに「再教育」労働改造所が建設

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(2004年7月23日 チベット人権民主センター)

「チベット自治区」のンガリ(チベット高原西部)にあるセンゲ市に新たな労働改造所(「再教育」を目的とした労働強制収容所)が建設された。この労働改造所は2004年7月に竣工、約200人の収容が可能となる。

2004年7月21日付のチベット・デイリーは、海抜4,300メートルにあるフレン・シン・ハイウェイ(the Fren Xin Highway)周辺に建設された労働改造所は現在は使用可能な状況にあると報道した。この新たに建設された労働改造所は200人を収容することができ、約3,700㎡(約1120坪)の広さをもっている。首都ラサからンガリまでは1,760キロの距離があるため、ラサから労働改造所までの移送は安全とは言えない。ンガリに社会的な安定をもたらし且つチベット人の経済的な状況を改善することを名目に、2003年6月にチベット自治区の法執行部が関係省庁に働きかけを行った結果、開発省が800万元(約1億400万円)を出資することが決まり、建設事業が正式に始まった。関係者は、「新しく建設された労働改造所の存在は、この地域に社会的な安定性をもたらすことになるだろう」と伝えている。

この新しい労働改造所は、地域のチベット人の国外逃亡や政治的活動に対する中国政府の強硬政策をさらに容易にするものだ。ンガリは、チベット・インド間のチベット人による脱出帰国ルートとなっているため、新たに建設されたこの施設によって大規模な取締りが可能になる。

チベット自治区には、完全に機能する二つの労働改造所がある。その一つであるトリサム労働改造所は、1992年1月にラサ西部に建設され、主に1980年代後半にデモに参加したチベット人が収容されている。初年度はおよそ70名のチベット人を収容した。1998年の1月には、別の労働改造所が、チベット自治区のチャムドのジタン近くに設立された。ダキャブ僧院からきたガワン・センゲ、チメ・ロプサン、ゴンポ、タシ・ニマがここに収容された最初の収容者である。

中国政府の行政法上の罰則規定に従い、刑期は6ヵ月から3年まで段階的に設定されており、再教育できなかった場合は、期限が1年延期となる。公安当局や労働改造所の管理委員会によって、裁判所の手続きを経ずに延期に該当するかどうかが決定する。これらの労働改造所は、国際法に照らせば刑務所に該当するにもかかわらず、中国政府当局は刑務所と見なしていない。

近年、中国政府は、労働改造所をチベット人政治犯やチベット自治区からの逃亡者を収容する施設として積極的に活用するようになった。このンガリの新しい労働改造所は、中国国外へと流出しようとするチベット人や、ネパール国境からチベット自治区内に戻ろうとするチベット人の流れを食い止め、拘束するという新たな機能を備えている。自由を求めて出発する人々を厳しく取り締まる中国政府のこうした政策によって、チベット人の移動はさらに制限されることになる。