2000年1月8日
産経新聞
産経新聞
【ロンドン7日】チベット仏教カギュー派の最高位の活仏であるカルマパ17世(14)の亡命を最初に報じた7日付英紙「デーリー・テレグラフ」によると、カルマパ17世はラサの北西約50kmにある寺院を随行者4人とひそかに抜け出し、豪雪に覆われたヒマラヤを1週間、約1500kmを歩き通し、5日朝10時半にインド北部のダラムサラに到着したという。到着したときは、「疲れきった状態」だったが、現在体力は回復しつつあるという。
カギュー派は、チベット仏教のなかでももっとも早くから欧米で帰依者を集めたことでも知られる。北米地区のテンジン・チョンイ代表は、カルマパ17世の脱出について「奇跡だ」と同紙に述べた。チョンイ代表によれば、カルマパ17世は到着した日にチベット仏教最高指導者、ダライ・ラマ14世と面会を果たした。
同紙はカルマパ17世について、「これまで中国政府にとってはダライ・ラマ14世のチベット亡命政権の権威をおとしめるための重要な武器だった」と論評。さらに、現在64歳のダライ・ラマ14世の身に何事か起こった場合、カルマパ17世の存在ははかりしれない大きさをもつことになると指摘し、「中国政府にとって長期間にわたって悔やむことになるだろう」と結んでいる。
チベット仏教カギュー派の英北部スコットランド支部では、産経新聞の電話取材に対して「こちらではまったく確認できないが、もし本当ならすばらしいことだ」と語っている。