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チベット暴動で情報戦略  批判回避へ中国躍起

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(2008年3月16日 東京新聞)

【北京】死傷者が出て最悪の事態に発展したチベット自治区ラサの抗議行動をめぐり、中国当局は「一部の組織暴力」と印象づける情報戦略を続けている。8月の北京五輪を控え、国内の動揺と海外の批判を抑える狙いだが、抗議行動はラサ以外でも広がり、情勢が沈静化するかは不透明だ。

国営中国中央テレビは15日午前8時(日本時間同9時)の定時ニュースで、デモ参加者が14日午後、商店を破壊、略奪し、路上で火を放つ映像を生々しく伝えた。国内の暴動シーンを放映するのは極めて異例だが、僧侶たちのデモ行進や、治安部隊が鎮圧する場面は流さなかった。国営新華社通信は暴動が発生して以降、英文で速報を流し続けた。国際社会から「情報隠し」との批判をかわす狙いだが、「罪もない市民が暴徒のため焼死」「(チベット仏教最高指導者の)ダライ・ラマ14世の集団が策動した」など、鎮圧行為を正当化する内容を繰り返している。

民衆に軍を投入し死傷者を出したことで、「平和の祭典である五輪を開催する資格はない」との批判が海外から起こるのは必至。中国当局は、民衆の自発的な抗議行動でなく「組織的な謀略」と位置付けることで、反発をかわそうとしている。

ラサの民宿関係者によると、暴動で襲われた車両は外地ナンバーが多く、漢民族の商店が集中して焼き打ちされた。ラサで暮らす漢民族はチベット民族より生活水準が高く、日ごろからの不満が噴出した側面もある。

関係者によると、人口の八割をチベット民族が占める中国西部の甘粛省夏河県でも14、15の両日に「自由」「民主」などのスローガンを掲げた数千人規模のデモが発生。警察車両は周囲から監視し、大きな衝突は起きていないという。四川省、青海省のチベット民族が多く住む地域でも抗議行動が起きている。