(2008年3月21日 読売新聞)
【北京】中国チベット自治区ラサの大規模暴動と他地域に波及した抗議行動で、インドに拠点を置く民間活動団体(NGO)「チベット人権民主化センター」は20日、「少なくとも70人が殺害された」と発表した。
さらに「数千人が負傷し、数千人が恣意(しい)的に拘束・逮捕され、数百人が行方不明になっている」と指摘し、中国政府の対応を非難した。
同センターはこれまで、四川省アバチベット族・チャン族自治州アバ県で16日に起きた暴動鎮圧の際、警官隊の発砲で15人が死亡したと公表していたが、「少なくとも23人」と修正。犠牲者には16歳の女子生徒も含まれるとし、ホームページで、この生徒とみられる写真を公開した。
チベット亡命政権は、一連の暴動による死者数を99人と発表している。
一方、中国政府がこれまでに発表した死者数はラサでの13人だけで、しかも「暴徒が殺害した」と説明。中国国営新華社通信は20日、アバ県で警官隊の発砲によりデモ参加者4人が負傷したと伝え、発砲による負傷者を初めて認めたが、死者には触れていない。
同通信は、デモ参加者は警察署を焼き払い、ナイフを持って警官隊に突入、武器を奪おうとして格闘になり、警官隊側は、威嚇射撃をしても暴力行為をやめなかったため、発砲せざるを得なかった、と報じた。
デモ隊が「チベット独立」を叫びながら石や火炎瓶で政府庁舎や学校、商店などを襲撃、車両約1100台に放火したことも挙げ、被害の大きさと発砲の正当性を強調している。