(2012年1月3日 Phayul)
カーラチャクラ灌頂に参加しているチベット人、中国人そしてヒマラヤ地方出身者に対し、チベットの宗教的指導者ダライ・ラマ法王は、「チベット問題およびチベット民族に理解と同情を示す中国人が中国本土で増えている」と話された。
「過去何年にもわたり中国人の学者、学生そしてさまざまな組織の代表らと会ってきたが、チベット問題への理解やチベット仏教への興味は中国本土の中国人の間で増してきている」
「中国にはおよそ300万人の仏教徒がいて、その数は現在も増加中だと聞いている。」昨年全政治的権限を、選挙で選出された新主席大臣に移譲された76歳の法王はそうおっしゃった。
「中国の指導者の中には仏教のダルマ(法)への理解やチベットの正しい歴史の知識ももたずに、チベット問題をただ軽視している人たちもいるようだ。」
椅子を降りられた法王は中国人信者のいる方へ歩み寄りながら、世界一の人口をもつ中国が仏陀の教えに従って愛と思いやりの心を育むことに精進すれば、全人類に対して大いなる貢献となることだろう、と話された。
「13億人の中国人には真実を知る権利がある。そして古から伝わる独自の伝統と知恵をもってすれば、中国人一人一人が物事の善悪を判断できるはずなのだ。」
チベット本土から参加したチベット人には、中国の抑圧を受け困難な状況にあっても「幸福を感じ、チベットの精神を信じそれに従いなさい」と法王は励まされた。
「私たちは大きな問題を抱えている。小さな問題ではない。それでも幸せを感じながら、子どもたちの教育に専念しなさい。」1959年以来亡命生活を続けておられるダライ・ラマ法王はそうおっしゃった。
「大きな目標を達成するには人は我慢強くなければいけない。時間がかかるのだ。」
中国人はダライ・ラマ法王が提唱する中道のアプローチについてどう考えているのかとの私たち( Phayul )の問いに対し、中国本土から来た中国人 Shan Shi Chu さんは、政治的なことについてはよく知らないが、ダライ・ラマ法王に直接お目にかかれて大変うれしいと答えた。
彼女によるとダライ・ラマ法王に会いたいと切望している中国人は大勢いるという。
「私はこの機会を本当に長い間待っていたのです。」
(翻訳:中村高子)