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チベット人作家のロブサン・ルンドゥップ氏(ペンネーム:ディー・ラデン)、ミュージシャンのルンドゥップ・ドラクパ氏、教師のリンチェン・キイ氏の逮捕、拘禁及び強制失踪について国連専門家が中国に説明責任を要求

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オリジナル記事
2022年4月20日
スイス、ジュネーブ
スタッフ・リポーター

(写真左から)歌手のルンドゥップ・ドラクパ氏、作家のディー・ラデン氏、教師のリンチェン・キイ氏

国連人権理事会の特別手続き任務の専門家グループの6名が、昨年2月に中国に送付された公式共同声明文で、ディー・ラデンのペンネームで知られるチベット人作家ロブサン・ルンドゥップ氏、ミュージシャンのルンドゥルプ・ドラクパ氏、教師のリンチェン・キイ氏の逮捕、拘留、そして強制失跡に対して懸念を表明し、中国側に説明責任を求めていたことが公表されました。
国連の人権専門家らは、チベットでの中国による著しい人権侵害の具体的な3つの事例を指摘した上で、教育を含むチベット文化の促進という正当な取組みに関与した多くのチベット人に対する中国の抑圧的な措置と、チベットにおける中国の支配に批判的なチベット人に対する中国の圧力に対して「深刻な懸念」を表明した。

専門家らは共同声明文で、いずれもチベット人で作家のロブサン・ルンドゥップ氏、歌手のルンドゥップ・ドラクパ氏及び教師のリンチェン・キイ氏らの生死の別、健康状態そしてその所在について情報を開示するよう、強い論調で中国に求めた。ロブサン・ルンドゥップ氏とルンドゥップ・ドラクパ氏の「逮捕、拘禁そして有罪判決」に関する法的根拠を強調しながら、「彼らに対する措置」と国際人権規範及び基準との適合性について、中国に対して疑問を呈した。チベット人教師のリンチェン・キイ氏の件に関しては、中国に対して彼女を逮捕及び拘禁した法的根拠や、「分離主義を扇動した」容疑に関して国際的な人権規範や慣習に照らしてどのように「解釈」され、「適合」していると判断されたのかについて説明を要求した。

ディー・ラデンのペンネームで知られるチベット人作家のロブサン・ルンドゥップ氏は、中国四川省成都の私立文化教育センターで勤務していた2019年6月、中国当局により逮捕された。彼は、1年半の間、裁判を受けることもできずに拘束され、家族との面会も禁じられた。
2021年、中国の裁判所は、ロブサン・ルンドゥップ氏を、家族の立会もないまま、非公開の裁判により「社会秩序を乱した」容疑で「懲役4年の刑」に処した。国連の専門家らは、チベット人作家ロブサン・ルンドゥップ氏の逮捕とその判決は、チベットでの中国の支配に批判的な彼の著作や、彼がチベットの歴史教育に関与していることによるとした調査報告を中国に発信している。

ロブサン・ルンドゥップ氏は、チベット東部アムド地域ゴロク、ペマ(班瑪)県ティダ村の出身である。彼は、チベット国内で、チベット語、歴史、仏教の教鞭をとっていた。また、彼はディー・ラデンのペンネームで、「Tsesok Le Trun Pe Kecha(命がけの言葉,2011年)とTungol Trimtug(非暴力による抵抗戦略,2015年)」の2冊の著書を出版した。

チベット人ミュージシャンのルンドゥップ・ドラクパ氏は、チベットの主張に焦点を当てた楽曲とその音楽的才能をよく知られているが、2019年5月、チベット自治区のナクチュ市ディル郡で、チベットにおける中国の抑圧的な政策に批判的な歌詞を含んだ楽曲「Black Hat~黒い帽子」を発表した後、中国当局によって逮捕された。
長期間にわたり外部との連絡を絶たれて拘禁された後、ルンドゥップ・ドラクパ氏は、当然のことながら、彼の歌「Black Hat~黒い帽子」に関連して2020年6月に懲役6年の刑を宣告された。

リンチェン・キイ氏は、2021年7月、チベット東部アムド・青海省ゴロク地域・タルラク(達日)県にあるセンドルク・タクツェ中学校の強制閉鎖に反対し、ハンガーストライキを行った後、「分離主義扇動」の罪で2021年8月に逮捕された。その後彼女は中国当局に連行され、青海省の省都・西寧に所在する病院に入院していると報じられたが、病状の診断結果についてはわかっていない。このことを知った彼女の家族が病院に駆けつけたが、既に別の場所に移送されていた。以後、彼女の健康状態や所在は不明のままである。

国連専門家が共同声明において強調したように、中国に対し釈明を求めたこれらの事案は、チベット人、特にチベットの言語、文化及び伝統の保護に従事するチベット人、若しくは、チベット国内における中国の政策について批判的な見解を表明しているチベット人が日常的に直面する問題の代表的なケースである。

国連の特別手続き任務保持者(とくべつ・てつづき・にんむ・ほじしゃ)は、「文化的権利における特別報告者(とくべつ・ほうこくしゃ)」「恣意的抑留(しいてき・こうりゅう)に関する作業部会(さぎょう・ぶかい)」「強制的または非自発的失踪(ひ・じはつてき・しっそう)に関する作業部会」「意見と表現の自由に対する権利と保護に関する特別報告者」「少数民族問題に関する特別報告者」の6つのグループまたは個人で構成されている。

――中央チベット政権ジュネーブ支局による報告


(翻訳:仁恕)