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チベット亡命政権国民議会 トゥプテン・ルンリック副議長 インタビュー


1999年12月14日
チベットハウス

◆◆トゥプテン・ルンリック プロフィール ◆◆

  • 1957年5月19日チベットのアムド地方レプコン生まれ
  • インド・ヒマチャルプラデッシュ州カングラ・ダラムサラ在住

学歴

  • インド・ダルハウジーCSTスクール中等部・高等部卒業
  • 級チベット学中央学院大学で教育学の学士号及び修士号を修める

職歴

  • 1981年〜1993年3月 ダラムサラのTCVスクールのチベット語教諭
  • 1993年〜1996年6月 スジャ(ビル)のTCVスクールの校長
  • 1996年6月 チベット亡命政権国会副議長に選任され現在に至る

■ 今回の来日の目的について教えてください。

本来なら議長が来日しなければならないところですが、議長が都合で来られず、私が代理で参りました。最初、ダライ・ラマ法王日本代表部事務所からチベット支援団体が「チベットの自由と人権の集い」を催す旨の知らせを受け、来日しました。「集い」の熱が冷めないうちにチベットの自由と人権をアピールすることが来日の重要な目的です。

■ チベットでの人権侵害の現状はどうなっているのでしょうか?どういう報告を受けていますか?

外国からの旅行者がチベットに来ることもあって、表向きは以前と比べると良くなっていることも事実です。昔は、弾圧と拷問が続いていましたが、現在は悲惨な状況は表には見えない状況です。しかし、現状は信教の自由、言論の自由、政治的発言の自由が残酷で悪化しています。

中国は、チベットの文化、民族を徹底的に破壊しようという政策をとっています。ラサなどの都市では以前のチベットの現状を知る世代はだんだん減少しています。タバコや飲酒、歓楽や中国から売春婦をチベットに連れてきてチベットの若い世代を精神的にダメにしていくという政策がとられ、10代、20代の若い女性に不妊手術を施しています。

■ そうした事実を国際社会は知らないのでしょうか?

私たちは、そうした現状を世界に知らせようと一生懸命やっています。現在の世の中は、実際に見ないと信じないというところがあります。また、中国はいろいろなメディアを通して大きく宣伝ができます。しかし、私たちチベット亡命政権は、ダライ・ラマ法王を通して世界のメディアに訴えるしかありません。中国はいろいろな面でお金を使ってやらせることができ、情報の面では私たちを凌駕しています。世界中に個人・団体を問わず私たちを支持する方たちがおり、チベットの悲惨な状況を伝えるために現地で写真を撮ったり情報を提供したりする勇敢な人たちが個人・組織を問わずいます。国会レベルでもいます。しかし最終的には、中国という大国との経済的な理由、商取引の利益に阻まれ、私たちの呼びかけは届きません。国連人権委員会の最終票の数で負けてしまうことは、世界を真摯に良きものにしようと考える人たちより、経済状態がよければいいとか未来はどうなろうとかまわないと考える人の数の方が多いという結果だと、私個人はそう認識しています。世界中、どこへ行っても安くていい物はメイド・イン・チャイナと言われています。これも私個人の意見ですが、世界中で労働者の権利や子どもが教育を受ける権利など人権を主張し謳いながら、一方質も案外よくて値段も手ごろな中国製製品を買うことを挙げてみましょう。中国製が安い理由はほとんどの強制労働収容所の囚人や子供たちが働かせられて手当てもろくに与えられていないからです。ものを作っている人達の人権が守られていないから安いのです。そういう理由を考えなければなりません。商品を見た時、目先の利益でなく心で考えなければならないと思います。

■ 国際社会の対応についてですが、アフリカ諸国が中国と経済的・外交的に関係が深く国連でも中国寄りだったにも関わらず、今年の国連人権委員会の中国が出した動議では、アフリカ諸国は棄権、反対の票を投じました。国際社会も少しずつ変わり希望も垣間見えるようですが、その点はいかがですか?

まず、チベットに対する世界からの支持は増えています。その理由の1つに、ダライ・ラマ法王が一貫して世界の平和、非暴力主義、人権を主張しています。ダライ・ラマ法王がおっしゃることは普遍的な真理で経済的背景などありません。真摯な言葉は人の心を打ちます。ジュネーブでの国連人権委員会の際、多くの各国代表がチベット代表のもとにこう言いに来ました。

「私たちは中立の立場はとっていますが、実際はそれ以上の気持ちがあります。自国の政策だから中立をとらなければなりません。しかし、チベット代表のあなた方は自信を持って胸をはってほしい。中国代表たちは奔走してお金を上げたりして各国代表たちに中国側につくように働きかけています。その点においても、チベット代表のあなた方は中国に勝利したのです」

環境問題についてもダライ・ラマ法王がその重要性を最初に提起しました。ダライ・ラマ法王の不変の哲学を世界の指導者たちが賛同しています。私は、勝利を収めるのは真実であることを堅く信じています。

命あるものに平和が戻って欲しいと心から願い努力すれば、そうなると信じています。

■1972年に日中国交回復以前は、日本は、国連でのチベット問題決議に賛成の票を投じていましたが、国交回復後、日本は何もアクションを起こさないようになりました。それに加えて、日本のマスコミがチベット問題を全く取り上げません。こうしたことを背景に日本では一般にチベット問題の認識が薄いのです。これについてどう思いますか?

今回の来日の目的は、日本で自由と人権についてアピールするためです。例えば、東京と大阪での大会の他、日本の国会議員の方にお会いして、チベットの現状を説明し我々の活動を理解してもらうことが目的です。日本ではまだチベット支援は確かに多くありません。欧米では何千、何百というチベット難民が住んでいてその地域を中心に活動が広がっています。日本においてチベット難民が50人前後という現実も少ない要因でしょう。しかし、1番大切なことは、普通の日本の方たちにチベットの現状を知ってもらうことです。その輪が広がって議会を動かすことになるでしょう。次に大切なのは学生です。学生に国際問題を学び意識を高めてほしいです。外国では、SFT(Students for a free Tibet)など活発でチベット問題の認識が高い。まず日本では、チベットの現状を学生に知らせることが大事です。

経済的にチベット亡命政権にとって困難な理由から、来日することは非常に難しいことです。年に1度か2度の来日の折、会合にチベット支援の方たちが集まります。続けることが大切です。私が思うには、日本でのチベット支援は、決してチベット問題を両極端に考えるのではなく、ダライ・ラマ法王の中道的アプローチに基づき、チベット亡命政権の公式代表機関であるダライ・ラマ法王日本代表部事務所に相談して活動を進めることが大事だと思います。

■ アメリカで始まったTIBETAN FREEDOM CONCERTにより、日本でも若い人たちが徐々に関心を持ってきています。参加したアーチストも自分たちのファンにもっとチベットのことを知ってもらおうとパンフレットを配布したりしています。日本にとって1999年は、TIBETAN FREEDOM CONCERT初参加とSFT初登場というチベット問題イニシアチブの記念すべき年でした。ダライ・ラマ法王日本代表部事務所のホームページも、政治的とか宗教的というものではなく、若い人が気軽にチベット問題にアクセスできるものを提案しています。ダライ・ラマ法王の魅力は、世界のどんな地域の人達も、どんな年齢層の人達も分かるものですから、その法王の魅力を通して特に若い人達にチベットをアピールしていきたいと思います。そこで日本の若い世代に何かメッセージをお聞かせ下さい。

若者が音楽やファッションからチベットに興味を持つことは事実です。私たちもこうしたことも通じて活動をやらなければなりません。俳優やミュージシャンを通してチベット問題を高めようとする努力も確かにしております。実際は、宗教的、哲学的なアプローチは将来のためになる結果を導くものですが、音楽は結果を得るものではありません。しかし、それも若者も生き方の1つでしょう。音楽への興味を通じて、若者にチベットをアピールすることはいいことだと思います。

若者はこれからの世界をつくっていく人達です。次の世代を作っていくために文化を継承する責任があります。またそれを次の世代に伝承する責任もあります。そこで大切となるものは学問、教育です。学問とは道具。その道具を社会や人々のために使うこと、使いこなせるようになることが大事です。学問を自分のものにして使っていくことです。何のために教育があるか、どうして学ぶのか、ということを把握していくことが大切です。

薬は毒にもなります。学んだことを世の中の為に自分で効果的に使いこなすことが大事と前述しましたが、その場合、良い動機を持つことが大変重要となります。良い動機とは、自分、周りの人々、それをさらに広げて世界中の命あるもののために幸福を生むような結果が出せるよう励むことです。自分だけの利益を考えると、幸福である期間はほんの一時です。自分に苦しいことがあるとき、「人間皆苦しみがある。私もその1人だ」と考えれば、心が落ち着きます。そしてなぜ苦しいのか、その原因を探ります。原因がわかれば、それがなくなるように試みます。

結論として、おおらかに考えること、何事も人のために考えることです。何故なら、苦は常に付きまとうものですから。細かく考えると苦しくなりますが、広く大きく考えると心が落ち着きます。それが大切です。

日本の若い人たちで関心を持っている方はまだまだ少ないですが、一生懸命やっている人達もいます。どうぞ任せてください。どうもありがとうございました。

(取材/T2)