(2010年4月2日 Tibet.net )
「歪曲したチベットの歴史を吹聴することよりも、チベットの将来のために議論することの方が遥かに重要だ。中華人民共和国政府は、歴史についての判断を歴史家に任せておくべきだ」と、テンパ・ツェリン氏は語った。
ダライ・ラマ法王ニューデリー代表部事務所のテンパ・ツェリン代表は、ジェツン・ペマ女史と共に日本人支援者の招聘を受け、日本に二週間の予定で滞在している。両氏は、4月1日、日本外国特派員協会主催の記者会見で国内外の報道関係者らに対して会見を行った。
テンパ・ツェリン氏は、中華人民共和国がチベットをいわゆる「封建農奴制から社会主義の楽園」に改革したというのが真実であるのなら、それを世界中に示すべきだ、と述べた。「今でも命がけでヒマラヤ山脈を越えようとするチベット人が絶えないということが、彼らにとっては『社会主義の楽園』にいる よりも死んだ方がましだということを示している。」
中国政府と法王特使との対話に関しては、同氏は次のような概要を伝えた。対話は「独立以外のことならいかなる問題についても話し合う」という時の最高権力者?小平氏の提案に基づくものだ。チベット側は2008年10月、中国政府の提案を受け「全チベット民族が名実共に自治を享受するための草案」を作成し、法王特使が中国政府にそれを提出した。その後中国指導部の疑問や懸念に答えるために「草案についての注釈」を今年1月北京で行われた9回目の協議で中国側に提出。これまで中国政府からは前向きな反応は一切ないが、チベット側はこの対話プロセスを継続していく意思を表明している。
中国政府が定めた局令第5号「チベット仏教活仏転生管理弁法」について同氏は、「明らかに不当な干渉」だと述べた。「宗教を信じない政府が、どうして活仏認定ほど神聖なことに口を挟む資格を持つだろうか?」
また同氏は、インドと中国の国境付近で両国が軍備拡張してきたことにふれ、かつてチベットが何世紀にもわたって両国の間で平和的バッファーとして機能していたが、それを失ったことで両国の軍事行動が活発になりそれはインドだけでなく他の近隣国にも脅威となっている、と述べた。
テンパ・ツェリン氏は、チベット問題はダライ・ラマ法王がおいでになるならないに関わらず解決されるその日まで忘れ去られることはない、と語った。
「懸命にチベット問題に取り組むチベット内外の若い世代のチベット人がそのあかしだ。」
テンパ・ツェリン氏は、チベット問題は正義、自由、非暴力、そして平和の問題だ、と述べた。「これは万人にとって重要なことだ。チベットの問題は世界中に影響を与える普遍的な問題なのだ。」同氏は今回この重要な問題について語る貴重な機会を与えてくれた日本の支援者に感謝の言葉を述べた。
亡命チベット人社会における教育については、ジェツン・ペマ女史から話があった。「亡命チベット人はチベット特有の言語を保護するために努力をしてきました。特に学校で伝達手段としてチベット語を導入することに力を入れています。」
その後両氏はダライ・ラマ法王日本代表部事務所と新宿常圓寺の日本人支援者が主催した歓迎会に招待された。会にはおよそ70名の支援者が集まった。
日本滞在中、両氏は東京、石川、沖縄でチベット問題や教育についての講演会および討論会への参加を予定している。
(翻訳:中村高子)