(2010年9月20日 ハンガリー、ブダペスト)
ハンガリーを訪問中のダライ・ラマ法王は今朝、ハンガリー議会の議員と招待客に向けた演説のなかで、「私は16歳で自由を、24歳で国を失いました。この51年間、私は亡命生活を続けています」と語った。
ダライ・ラマ法王は、ハンガリーの人々がソビエト連邦の支配に対して蜂起した1956年10月のハンガリー革命について述べ、「当時、私はチベットにいました。しかし私の気持ちは、自由を求めて闘っているハンガリーの人々の極めて近くにありました。
正義の力は銃の力よりも強力です。銃の力は一時的な力にすぎません。 銃で真実を砕くことはできないのです。チベット問題もまた、弾圧によって解決することはできません」と語った。
ダライ・ラマ法王は、チベット人は中国からの分離独立を求めているのではなく、チベット問題を解決することで中国とチベットの双方に有益となる「名実を伴う自治」を求めているのであるということを繰り返した。
ハンガリー議会は、ダライ・ラマ法王を盛大に歓迎した。国会議事堂の正面玄関では、ハンガリー議会のチベット支援グループとハンガリーの新党であるLMP(政治の新しい形)党の代表者が、ダライ・ラマ法王を出迎えた。また、議会の人権委員会委員長も、ダライ・ラマ法王の訪問を待ち望んでいた。
LMP党の副代表で人権委員会副委員長を務めるスザボ・ティメア(Szabo Timea)女史は、「本日我々は、チベット問題の解決に向けて全力でサポートしていくことを表明するためにここに集まりました。我々は、数千年の歴史を持つチベットの文化とアイデンティティを残していくためにも名実を伴う自治の実現を支援します」と述べた。
LMP党はまた、チベットの環境問題と気候変動による自然災害について懸念を表明した。これを受けてダライ・ラマ法王は、ハンガリーの議員がチベットを訪問し、自分の目で状況を視察することを奨励した。
午後、ダライ・ラマ法王は中央ヨーロッパ大学(Central European University)の生徒と教職員に向けて講演を行なった。同大学には、世界100カ国からの生徒と40カ国からの教職員が在籍している。
明朝、ダライ・ラマ法王はドイツ南東部パッサウ市に向かわれる。
(翻訳:小池美和)