(2011年6月14日)
ダライ・ラマ法王はオーストラリアの主要政党党員らと会見するためにキャンベラを訪れた。今回の訪問は、現在26名の会員で構成されているチベットのための超党派議会連盟(All-Party Parliamentary Group for Tibet 議長:マイケル・ダンビー下院議員、ピーター・スリッパー下院議員、ボブ・ブラウン上院議員、ニック・ゼノフォン上院議員)の招聘で実現した。会員の中には、2009年にオーストラリアの議員代表として初めてダラムサラに派遣された人たちも含まれている。今朝キャンベラ国会議事堂に到着された法王を連盟の主催者4名が出迎えた。
ダライ・ラマ法王は長年のチベット支持者であるオーストラリア緑の党党首、ボブ・ブラウン議員、野党党首のトニー・アボット議員そしてオーストラリア国民党党首、ウォレン・トラス議員と会談された。その後チベットのための超党派議会連盟の会員15名とも会合がもたれ、チベット人社会における民主主義の発展とその重要性など、幅広い話題を討論する絶好の機会となった。ダライ・ラマ法王は、オーストラリア原住民として初めて下院で議席を獲得したケン・ワイアット議員に祝辞を述べられた。ワイアット氏は最近同連盟に入会し、チベット問題にも高い関心を寄せている。連盟を代表してスリッパー氏が共同声明を発表し、ダライ・ラマ法王が亡命チベット人社会に民主主義を確立された功績を讃えた。さらに同氏は、チベットの文化や暮らしが脅威にさらされていることに言及し、中華人民共和国憲法に則った真の自治を求めるチベット民族を支持するという連盟の意思を表明した。中国の安寧と繁栄はオーストラリアの将来にとっても重要であり、チベット問題の解決はオーストラリア連邦国家のためにもなる、と同氏は続けた。
その後、およそ80名の議員、国会議員顧問、そして五カ国の外交官の出席のもとレセプションが催され、法王は挨拶を述べられた。外交官や上下両院の議員が一堂に会してダライ・ラマ法王のお話を伺うという異例の集まりの中で、法王はチベット−中国関係の現状と政治倫理を維持することの重要性についてお話になった。自由の実現は中国を国際社会の一員として一歩前進させるものだが、中国はその責任についても認識する必要がある。そしてそのためには報道の自由を保障し政治における透明性の向上を図らなければならない、と法王は述べられた。
政治家とのミーティングに先立って記者会見も行われた。気候変動、中国との貿易、亡命希望者に関して質問が集中した。フェデラル・プレス・ギャラリー(連邦会議報道陣)も、豪州議会で激しく議論されるこれらの課題についてのダライ・ラマ法王の見解に熱心に耳を傾けていた。
キャンベラ国会議事堂で宗教を越えた世界平和祈願が執り行われ、多忙なスケジュールの中、ダライ・ラマ法王は世界宗教の代表者五名と共に参列された。
短時間ではあったが下院を訪れ、クエスチョン・タイム(Question Time)を傍聴されたのがダライ・ラマ法王の連邦議会訪問のハイライトとなった。議長のハリー・ジェンキンス議員は傍聴席のダライ・ラマ法王を貴賓として歓迎した。
同日、法王はナショナル・コンベンション・センター内のロイヤル・シアターを埋め尽くした聴衆を前に、『Happiness, Life & Living』と題して講演を行った。午前中にはチベット、ブータン、そしてモンゴルのコミュニティーとも交流された。
ダライ・ラマ法王は明朝キャンベラを後にされ、クイーンズランド州のブリスベンとサンシャイン・コーストを三日間かけて訪問されるご予定である。
(翻訳:中村高子)