2000年1月9日
毎日新聞
毎日新聞
中国チベット自治区からインドに渡ったチベット仏教カギュ派最高位の活仏、カルマパ17世(14)は9日早朝、滞在していたダラムサラにあるダライ・ラマ14世の亡命政府から車で移動した。亡命政府やインド政府は行き先を明らかにしておらず、さまざまな憶測を呼んでいる。
一行の出発を確認したAP通信などによると、カルマパ17世は9日の夜明け前、法衣姿でダラムサラ近郊のゲストハウスを出て黒塗りの車に乗り込み、亡命政府の警護僧らが乗った3台の車とともに出発した。チベットから一緒に来た姉(24)と2人の僧、さらにインド政府職員も同行したという。
行き先については、ダラムサラ近郊のカギュ派寺院との未確認情報がある。またインド北東部シッキム州にある同派のルムテク寺院に向かったとの観測も流れている。同寺院には17世の前身とされる16世がチベットから逃れた後に滞在していた。後継の儀式を行うのではないかとの見方だ。
一方、中国との関係正常化を目指すインド政府は、今回の出来事で悪影響を招くのは避けたい意向で、インド政府職員が同行していることからカルマパ17世はチベットに帰還するのではないかと見る筋も1部にはある。
カルマパ17世は5日にダラムサラに到着し、8日、ダライ・ラマ14世と会談した後、ゲストハウスに戻っていた。ヒマラヤ山脈越えで疲労していた17世は、8日夜にはゲストハウスのバルコニーに姿を見せ報道陣に手を振ってみせるなど、元気を取り戻した様子だったという。