2025年12月12日
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インド、カルナータカ州ムンゴット
昨日、ダライ・ラマ法王は道沿いに並ぶ大勢のチベット人と外国人に見送られてダラムサラを出発され、空港でも大勢の人々に見送られながらデリーへと向かわれた。今日は、デリーからカルナータカ州フブリへと飛び、亡命の地に再建されたデプン僧院へと赴かれた。

フブリ空港に到着された法王は、デプン僧院ゴマン学堂長ゲシェ・ジグメ・ギャツォ師、モンラム・ギャツォ上級行政官、中央チベット政権南インド担当代表ジグメ・ツルティム氏らの出迎えを受けられた。さらに、地元行政の代表であるフブリ・ダールワード県のティヴィヤ・プラブ氏、フブリ・ダールワード都市警察のN.シャシクマール本部長とマハニング・ナンダガンヴィ副警察委員長からも歓迎の挨拶を受けた。空港の外では、各僧院の座主たちと、五つのチベット人居住区の行政官たちが法王を出迎えた。
法王がデプン僧院のあるムンゴットへ車を走らせる道沿いには、カタと呼ばれる白いスカーフ、花、線香などを手にした数千人の人々が列をなして法王を歓迎した。その中には僧院からやってきた大勢の僧侶や尼僧の姿もあった。道路や居住地は、旗、歓迎のポスター、仏教の聖句が記された装飾などが飾られていた。

デプン僧院ゴマン学堂に到着された法王は、第105代ガンデン僧院座主ロブサン・ドルジェ師をはじめ、ガンデン僧院のチャンツェ学堂法主とシャルツェ学堂法主の両師、現職のデプン僧院座主と二人の前座主、デプン僧院の新旧学堂長、他の様々な僧院や機関から集まった座主やトゥルクたちの出迎えを受けられた。他にも、クンデリン・リンポチェ、リン・リンポチェ、亡命第一世代のバクサ出身の高齢の僧侶らも出迎えに参列していた。こうした仏教界の要人に加え、ダールワード警察のグンジャン・アリヤ本部長、カルワル県のラクシュミー・プリヤ副知事、カルワール警察のディーパン・M・N本部長、カルワール県行政評議会責任者のディリーシュ・シャシ博士、シルシ行政区長のカヴィヤラニ氏、ムンゴット郡長シャンカール・ゴウディ氏、中央チベット政権・最高司法委員会のテンジン・ルントク前最高裁判事も法王を歓迎して列席した。
法王はデプン・ゴマン学堂前の問答場から集会場まで歩いて移動され、そこで法座に着かれた。続いて、ガンデン僧院座主、デプン僧院座主、デプン僧院ゴマン学堂長、ムンゴットのチベット人居住区管理官が、一人づつマンダラと仏陀の身口意の象徴を法王に献上した。その間、会場では法王の二人の家庭教師によるダライ・ラマ法王長寿祈願『不滅の詩』が唱えられていた。

参加者にお茶と儀式用の甘いご飯が配られると、法王は次のように簡潔に述べられた。
「チベット人居住地のあるこの地は、チベットの南西に位置します。今日ここに、僧侶の皆さんが喜びと心からの思いをもって集っています。これは何を意味するのでしょう?それは、ナーガールジュナ(龍樹)を始めとする偉大な聖賢たちの説いた清浄な教え、すなわち顕教と密教の広大かつ甚深なる教えが、今なお、私たちチベット人によって守られ継承されていることを示しているのです。チベットにおいて直面した多くの困難にもかかわらず、チベットの人々は自らの宗教と文化に対する強い信仰と献身を保ち続けてきたということです」
「重要なのは、私たちチベット人が、雪国チベットの教えに強い責任感を持っているという点です。今日、チベット仏教はチベット人だけでなく、中国や世界の人々から、より一層の敬意をもって受け入れています。様々な背景を持つ人々がチベットの宗教と文化の価値を認め、理解を深めています」
「私たちは、仏陀の教えが繁栄するよう祈るだけでなく、仏法の学びと実践が生き続けるよう積極的に取り組んでいます。仏教への興味は特に若い人々の間で着実に高まっています。宗教としての仏教に興味を示さない人もいるかもしれませんが、仏教の学習法、熟考の仕方、内面的成長に関するアプローチ法に対する強い関心が高まっています。これを受けて私たちも、チベット仏教の教え全体への新たな取り組みをすべく努めています」

「仏教は、長きにわたり中国、チベット、ヒマラヤ地方の人々の間で共有されてきた信仰であり、その絆は深まり続けています。ダライ・ラマである私は、仏法を説き、多くの人々に伝えてきましたし、ヒマラヤ地方の人々は仏教への特に深い信仰心を持っています。また、チベット人は仏教教育の強固な基盤を守り続けてきました。その結果として、経典に基づく教えと実践に基づく教えの両方がヒマラヤ地域に広く伝わり、今も数えきれないほどの人々に恩恵をもたらし続けているのです」
「私は、仏教の実践的な面に関心を持つ科学者たちとの対話も重ねてきました。彼らは前世や来世などの話には興味を示しませんが、穏やかで規律ある心を通して内面的な平和を育む、といったテーマに関心を持っています。キリスト教徒が大半を占める国々でも、こうしたテーマへの関心が高まっています。私が海外を訪問すると、人々は私を温かく迎え、真摯に耳を傾けてくれます。そのおかげで、仏教の洞察に対する肯定的な評価が生まれています」
「かつてチベットでは、仏法は消滅の危機にありましたが、亡命した私たちは、仏法を守るため懸命な努力をしました。今日、科学者を始めとする多くの人々が仏教の見解、瞑想、倫理的な実践に注目しています。彼らとの交流を通じて、仏教には、心を訓練し内面の平和を実現するための独自の方法があることが明らかになりました。仏教の三乗の教えすべてが、私たちの伝統の中に完全な形で受け継がれ、保持されています」
「ヒマラヤ地方の人々は、仏法の教えへの深い信仰を持ち、中でも業や因果応報の教えに強い関心を持っています。私はダライ・ラマの称号を持つ者として、多くの指導の依頼を受けています。中国当局はチベットの仏法を根絶しようと試みてきましたが、チベット仏教の深遠な教えは、今や世界中でますます大きな関心を集めているのです」
「私たち修行者は仏法を守り継承していますが、科学者を始めとする他の人々が仏教の教えに興味を示してくださることは、大変心強いことです。見解(智慧)・修習(瞑想)・行為(戒律)の修行に根差し、身口意の三門を制御して内面の平和を修養する仏教の教えは、今や、宗教的実践をしていない人々の間でも、広く評価されています」
法王はこのように語られた後、ご自身が130歳まで生きるという予言と夢について話された。さらに法王は、出席者全員に向けて仏法を復興強化し、世界に利益をもたらすべく精進努力するよう聴衆を励まされ、ゴマン学堂長の案内で、問答用広場の上階にある自室へと戻られた。






