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青海チベット高原の温暖化による重大な問題を専門家が警鐘

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(2009年8月17日)

青海チベット高原の温暖化が進んでおり、この傾向がつづくと環境の悪化、および水不足につながると専門家は警鐘している。

「青海チベット高原は地球温暖化による影響を最も受けている地域にある。言い換えると、地球的に規模での気候、アジアにおける暮らしに悪影響を与えるだろう。」と中国気象局(CMA)前局長でもあった、中国科学院(CAS)のQin Daheは言う。Qin Daheは南極を踏破した最初の中国人でもある。

チベット自治区の気温は1961年から2008年の間、10年ごとに平均0.32度上昇しており、中国全土の上昇率0.05〜0.08度に比べ、大幅な上昇率である。中国気象局のデータによると今年7月のチベットの平均気温は1951年以来、最高であった。

前年同時期に比べ、チベット西部、南部の降雨量は30〜80%減少している。

2009年8月14日撮影の写真、中国北西部青海省省都西寧から
西へ150kmの青海湖の一部。(新華社・Hou Deqiang)

「地球温暖化により、青海チベット高原の氷河は地球上のどの地域よりも速いスピードで、大きく後退している。短期的には、これにより湖が拡大し、洪水、泥流を引き起こされる。」

「長期的にみれば、この氷河はインダス川、ガンジスがなどのアジアの川の重要な生命線であり、氷河がなくなれば、これらの地域での水の供給が危ぶまれる。」とQinは言う。

中国の氷河専門家の先駆者の一人であり、中国科学院青海チベット高原調査研究所所長のYao Tandongは、チベット高原の氷河は過去の気候変動の正確な記録であると言い、Qinに同意している。

「チベット高原の氷河は、温暖化が急激であり、桁外れであることを示している。過去2000年間で、現在が最も暖かい」とYaoは言う。

チベット高原は世界で3番目に大きな氷の貯蔵庫である。過去20年間で、氷河表面の82%が失われ、氷河地帯そのものも4.5%減少している。

地球温暖化を調査している国連機関の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は今年5月に、現在のペースで温暖化が進めば、ヒマラヤ(青海チベット高原を含む)の氷河は30年以内に消滅する可能性があるとの予測をした。

温暖化のもう一つの巨大な脅威は、永久凍土、四季を通じて凍結した地表の氷解であるとQinは言う。

Qinによると「永久凍土は生態学的環境の保護、水の循環に対して大きな役割を果たしている。しかし永久凍土は過去50年破壊されつづけている。永久凍土の氷解は最終的に生態系バランスを崩し、地表の砂漠化、数々の困難を引き起こすであろう。」ということである。

「チベット高原の植物が減少すれば、その後の太陽輻射の吸収が、アジアの夏のモンスーンの強さに変化を与えるだろう」とQinは言う。「この結果、インド北部、中国北部には旱魃が起こり、中国南部では洪水の規模が増すだろう。」と。

「また永久凍土地域での建設も気温上昇、永久凍土の氷解により、困難に直面するだろう」とも言う。

青海チベット鉄道、高速道路は将来、変形してしまう可能性があるとQinはいう。

しかし中国科学院調査員であり、青海チベット鉄道プロジェクトチームのメンバーであるCheng Guodongは建設について楽観的である。

「我々は線路下の永久凍土を冷却(安定)させるための対策を施し、過去3年間氷解ししていない。今後50年間は大丈夫であろうと信じている」と述べた。


(翻訳:嘉村)