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米国・信教の自由委員会が2015年度報告書で中国の深刻な侵害状況を批判

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2016年5月3日
ダラムサラ

 

米国国際信教の自由委員会(USCIRF)が5月2日に発表した年次報告書によると、同委員会の2015年の報告内容より、世界の信教の自由はさらに深刻な状況にあるとされている。

「2015年に発表した前回の年次報告書以降、諸外国の信教の自由の侵害は深刻化している」と報告書は説明する。

「新たに拘束、または長期にわたり拘束されている政治犯の問題、難民や本国内行方不明者の大幅な増加、ヨーロッパにおけるユダヤ人やイスラム教徒に対する偏見、その他の本報告書で述べる侵害など、世界中で人権侵害が絶えない」

報告書の「中国」の部で、委員会は、2015年も中国による深刻な信教の自由の侵害が横行していると述べ、次のように説明している。「中国政府は国際レベルに肩を並べることを求めながら、自国では人権や真の自治を提唱する個人や団体の声を否定する政策を維持している」

また、新疆ウイグル自治区のイスラム教徒やチベット人仏教徒に対する弾圧が継続して行われ、中国政府は次の転生ダライ・ラマ法王の認定権を主張していることも述べられている。

さらに次のようにも述べている。「2015年、中国政府はチベット仏教を厳しく規制し、その文化や宗教行事などを監視し、弾圧を続けた。政府主導で僧院の一斉検挙が続き、チベット内の中国共産党員は僧院に共産党のプロパガンダを強要した」

報告書はまた、若い仏教僧の教育や修行に対する政府の干渉や焼身抗議の増加、著名なチベット人社会活動家で精神的指導者であるテンジン・デレック・リンポチェの獄中での死亡などに言及している。

「昨年は目立った周年行事が多く行われた。ダライ・ラマ法王の80歳の誕生日、中国政府によるチベット自治区成立50周年、パンチェン・ラマとしても知られるゲンドゥン・チューキ・ニマ少年の失踪20年などである」と報告書は説明し、さらにこうした行事に参加する一般のチベット人の拘束が中国で頻繁に行われていることを指摘している。

同委員会の昨年の提案と、今年の米中戦略経済対話でもちあがった信教の自由に関する懸念をうけ、米国国務省は先ごろ、中国を宗教弾圧が特に懸念される国(CPC)に再指定した。また同省は中国政府に対し、政治犯の釈放と、宗教の自由を侵害する公務員に対する罰則を科することを求めた。


(翻訳:植林)