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米国、チベット人の人権を尊重するよう中国に要請/「中国の裁判判決に信憑性なし」と人権組織も訴え

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(2013年2月2日 CTA

 

ダラムサラ:米政府は2月1日、中国政府に対し、チベット独自の宗教・文化・言語の存続を脅かす中国の政策についてチベット人が自由かつ平和的に苦悩を表明する権利を認めるよう求めた。

米国のビクトリア・ヌーランド国務省報道官は、ワシントンで次のように語った。
「焼身を扇動したとして中国政府がチベット人2名に判決を下したことについては、我々も情報を得ています。これまで言い続けてきたように、米国は焼身抗議という痛ましい行為が終わることを切に望んでいます。米国は引き続き、公的、私的、あらゆるレベルで中国政府に対し、チベットにおける政策を改めるよう要請していきます。チベット地域の緊張は高まっており、チベット独自の宗教・文化・言語といったチベット人のアイデンティティが脅かされています。
この場において今一度、中国政府に対し、チベットの人々が報復を恐れずに自由かつ公然と、平和的に、苦悩を表明することを認めるよう要請します」。

ヒューマン・ライツ・ウォッチ、チベット人2名の即時釈放を要請

国際人権組織のヒューマン・ライツ・ウォッチは2月1日、声明の中で、「中国の司法当局は、拘束者を5カ月にわたって尋問し、そうして得た供述のみを根拠に有罪判決としたチベット人2名をただちに釈放すべきである」と伝えた。

「そのような供述は、拷問など残忍極まる非人道的かつ下劣な方法で拘留中のチベット人に自白を強要するという独特の方法を用いて得た記録である」とヒューマン・ライツ・ウォッチは伝えている。

ヒューマン・ライツ・ウォッチのソフィ・リチャードソン中国部長は、「このような状況で行なわれた犯罪訴追手続きにはまったく信憑性がない。中国政府は焼身について語る者をだれでもかれでも罰すれば焼身を止めることができると考えているようだが、このような「扇動」という名目で罰しようとし続ければ中国政府は焼身の悲劇をさらに大きくすることになる」と語った。

またリチャードソン氏は、「焼身抗議の背景には、中国政府が長年にわたってチベット地域で行なってきた抑圧的な政策がある。つまり、チベット人の権利を厳しく制限していることが背景にある。中国政府の政策に対する抗議であるという言葉を残して焼身を図った人たちがいることからも、これは明らかである」と語った。

ヒューマン・ライツ・ウォッチは、中国政府にはいまだチベットにおける苦悩の改善に取り組もうという努力が何ら見られず、これがチベット人のさらなる焼身抗議の原因となっていると伝えている。

リチャードソン氏は、「自殺を扇動したという申し立てで死刑を宣告するような裁判は、生存権のための裁判ではないし生存権を尊重してもいない」としたうえで、「焼身に関わったとして現在行なわれている犯罪訴追手続きは行き詰ってきており、この悲劇の罪を誰かに着せねばならないところまで来たようだ。今こそ中国政府は、この悲劇的な抗議を引き起こしている人権侵害という苦悩に対する責任を果たすべきである」と語った。


(翻訳:小池美和)