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産児制限と中絶・不妊手術の強制

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チベット亡命政権 情報・国際関係省著「チベット入門」より抜粋

1984年、中国政府は、チベット人に対して子供を2人以下とする産児制限を課した。しかしその方針に従っているのは、「自治区」住人のわずか12%であるという。というのも、農村や遊牧地帯のチベット人は、この制限を免除されることになっていたからだ。ところが実際は、第3子を産むと1,500元〜3,000元(400〜800ドル)の罰金が課せられた。しかも第3子以降の子供には配給票が与えられず、規則違反の労働者には最高50%の賃金カットがあった。場合によっては、3ヶ月〜6ヶ月の賃金支払い停止処分を受けることもあった。

このような強硬手段は、さまざまな巧妙な手口を使って実施されてきたし、また現在でも実施されている。1987年11月5日、「チベット自治区」計画出産委員会の責任者ツェリン・ドルカーは、ある会議の席で次のように語っている。

104,024人の出産適齢女性のうち、76,220人が既婚者である。このうち、22,634人がすでに不妊手術を受けている。これはチベット自治区に住む出産適齢女性の30%に当たる。1985年には、家族計画の方法が教えられた農村や遊牧地帯で、意識と出生率の両方において目に見える変化が現れた。また翌1986年、ニンティ[林芝]地区、ロカ[山南]地区、シガツェ地区で、女性の19%が不妊手術を受けている。

シガツェの民政局によれば、1990年7月、シガツェ小児産婦人科病院のチームがブチュン(布窮)県の遠隔地域で調査を行った。その結果、この狭い地域だけで387人の女性が不妊手術を受けていることがわかった。一行は、それまでにも110の県を回り、2,419人の女性のうち1,092人に不妊手術を施している。

ロカのギャツァ[加査]県にある小児産婦人科病院のツェリン・ヨードン医師によれば、

4,000人以上の出産適齢女性のうち、1,000人以上が避妊を行い、700人が不妊手術を受けている

という。

カムとアムドでは、さらに抑圧的な政策が取られている。
たとえば、甘粛省「天祝(パリ)チベット族自治県」では、1983年、2,415人の女性が不妊手術を受けており、その82%がチベット人である。また1987年には、四川省「甘孜チベット族自治州」のザチュ県で764人の出産適齢女性が不妊手術を受け、そのうちの660人がチベット人であった。産児制限チームが農村・遊牧地域を歩き回っては、女性たちを集めて中絶や不妊手術を施している。すでに腹部の大きくなっている女性にさえ中絶が強制され、ついで不妊手術が実施された。

一般にチベットにおける産児制限は、土地や時期によって実施の度合いがまちまちである。それは多分に、産児制限はすべてが地方役人の熱意に任されていることによる。

産児制限について、白書はこう述べている。

チベットでは、わずか12%の人しか出生計画の方針に従っていない。出生計画を実行する際、政府はいつでも「普及に努め、本人の意志を尊重し、奉仕を旨とする」原則は堅持しており、強制中絶の類はすべて禁止している。