チベットの核

核配備空軍基地

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核兵器を保有する空軍基地

Hong-6爆撃機

中国で核爆撃の特命飛行が現在可能な航空機として、以下の三つの種類が挙げられる。Hong-6爆撃機、Hong-5爆撃機、およびQing-5ジェット戦闘機である。中でもHong-6の爆撃半径は3,000キロメートルにも及び、旧ソビエト連邦とインドがその中に収まってしまう。Hong-5の爆撃半径はその半分以下の1,200キロメートルである。

60年代、および70年代のチベットには、3つの主要な空軍基地—ラサ飛行場、チャブチャ飛行場、ゴルムド飛行場—があった。60年代、チャブチャ飛行場とゴルムド飛行場は、中国航空機がチベットとインド国境への帰路の途中に燃料を補給する基地としての役目を果たしていた。

Qing-5ジェット戦闘機

ゴンカル飛行場はラサの南西917キロメートルに位置し、国境付近に駐屯する中国軍のため、物資を供給する主要航空基地として機能していた。
シガツェ軍事空港では、4機または5機のIL—28爆撃機がジェットエンジン搭載の戦闘機とともに配備されていた。空港内では、AN—32やロシア製のIL—18などの軍事輸送航空機が始終操作されているのが確認されている。毎年秋になると、空港から西へ50キロメートル離れたロマ・ツァンでは爆撃機による爆撃演習が実施されている。その他の時期には航空機による飛行訓練が行われている。

「ワシントン・タイムズ」は、米国国防総省の機密文書を掲載し、中国とベトナムの国境付近のジャンシュイJianshui)、およびアムドのダトン(大同)にあるミサイル発射複合施設には、CSS—2とCSS—5発射装置が配備され、「インドのほとんどの地域」が爆撃目標となっていることを明らかにした。その他の爆撃目標としてはロシア、日本、台湾が含まれることも、米国空軍情報センター(MAIC)作成の機密報告書を引用して明らかにしている。報告では、中国には現在40もの再発射可能なCSS—2発射台が、6つの野戦駐屯地と発射施設にあることが確認されている。ダトンミサイル駐屯地にある発射台は、インドだけではなくロシアまでもその攻撃目標とすることができる。CSS—2訓練用地もまた、海南近辺で米国スパイ衛星により発見されている。

ロシアは中国に、最新型航空機、駆逐艦、そのほかのハイテク兵器はもちろんのこと、100もの精密誘導砲弾付き先進砲撃システムを輸出しているが、これは明らかに兵器に関する機密取引である。中国は、50機ほどのSU—27フランカー戦闘機を購入しているが、2005年までに250機のジェット機の購入を計画しているという。SU—27戦闘機にはAA—11空対空ミサイルが搭載され、電子制御燃料タンク付きの高性能レーダー誘導ロケットとして機能する。
中国が最新の核兵器を配備し、複数の弾頭ミサイルを開発しているのは疑う余地もなく、さらに大陸間核弾道ミサイル攻撃の能力さえも備えている。米国戦略司令部の司令官であるハビガー将軍が「ワシントン・タイムズ」に語ったところによると、この大陸間弾道ミサイルは米国のほとんどの地域にまで到達するということである。
ハビガー将軍はさらに、中国の最新大陸間弾道ミサイルとして、射程距離が7,242キロメートルの路上可動式ミサイルであるDF-31、その次に新しい大陸間弾道ミサイルとして、射程距離が11,265キロメートルのミサイル、これらが用意されているとも伝えている。

中国は、63年の核実験禁止条約を無視し続けてきた。チベットの真北に位置する東トルキスタンのロプ・ノール実験場では95年8月17日に地下で核実験が行われ、翌年6月8日と7月29日にも核実験が行われている。中国では、64年、ロプ・ノールでの核実験以来、現在まで45発もの核爆弾を爆発してきた。45発目は、96年7月29日、ジュネーブで開催された包括的核実験禁止条約国連会議の最終局面で各国の代表者たちが討議を交わそうと席に着いたその数時間後である。
中国は、陸軍、海軍、空軍にはミサイルを、潜水艦には核ミサイルを搭載し、様々な小型核弾頭の開発を続けている。核弾頭は、複数の弾頭ミサイルに搭載されているため、その弾道能力は格段に拡張されている。中国の核兵器は、日本の広島に投下され14万人もの人命を奪った原子爆弾(2万キロトンのトリニトロトルエン)の16,000倍もの能力を持つ。それでもなお中国は、核兵器の安全性を保証するためさらに核実験が必要である、と主張している。

CNNワールド・ニュースは、98年4月7日、フランスと英国が国際的な核兵器拡散を防止し、核のない世界を実現するため、包括的核実験禁止条約(CTBT)を批准したことを発表した。中国は、米国、ロシア、その他2か国と並んでCTBTの批准を拒否している。中国は、92年には核拡散防止条約に調印している。
しかし、中国が国際舞台で何に調印しようと、何を宣言しようと、本当に他の意見に耳を傾けたり従ったりするなど考えられない。どの国も、このアジアの大国を怒らせ、利益をもたらすはずの取引をむざむざ失うことを恐れているのである。チベットとその国民は、国連の代表国ではないという「あやまち」により屈辱的な扱いを受け続けている一方、多くの国々は、国際社会で望まれる政策と、それに必要な規範について矛盾した態度を平気で取っている。このような国々は、チベットの変化による影響が、はるかかなたまで及ぶという事実を失念しているため、チベット高原での核拡散を無視し続けている。


チベット亡命政権情報・国際関係省環境開発部(EDD)発行
「グリーンチベット」1998年ニュースレターより

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