チベットの核

序章

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はじめに

チベットは、世界中の国々の中でも際立った特徴を持つ存在である。それは、チベットが地球上で最も高い海抜の高原に位置しているだけではなく、あらゆる国家の中で唯一、侵略政策や軍事技術を放棄することを選択し、その代わりに精神的な発展と平和に寄与する社会を築き上げることを目標として掲げてきた国であるからだ。チベット人は仏陀の教えに従い精神的世界を作り上げ、そこで何千もの人たちがその教えを学んできたのである。

仏教のもっとも根本的な教えはアヒンサー (非暴力) である。
「人は可能な限り他の存在を助け、いかなる危害も加えないようにしなければならない」
この教えにより、チベット政府では最小限の軍隊のみを保持することを伝統としていたため、1949年に強い兵力を持った中国軍がチベットへ侵攻してきたときには自らを守ることができなかった。

すべての生命体を破壊し、私たちの美しい緑の惑星を不毛な死の地に変えてしまう核兵器は、仏教の教えに相反するものである。核兵器を使用すれば、生あるものは無差別的に殺戮され、数千年もの間、その影響は残ってしまう。そのためチベット人は、平和を愛する精神を育んだ母国が、中国占領下で核兵器の貯蔵庫や核廃棄物の投棄場となっていることが報じられるたびに、大きな動揺を憶えずにはいられない。

中国はこれだけでは不足なのか、さらに収益を目論み、有毒廃棄物を請負い、チベットへ廃棄することまでも諸外国に呼びかけているとの報告がある。

このレポートの目的は、チベットの核影響に関して入手できた情報のいくつかを発表し、この影響がいわゆる「下流地域」の国々にとって特に重大である理由を説明することにある。実際、私達はみなチベットの「下流地域」に位置しているのである。


チベット亡命政権情報・国際関係省環境開発部(EDD)発行
「グリーンチベット」1998年ニュースレターより

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