「チベットでの中国の存在と人権の侵害」 1997 TCHRD発行

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TCHRD(チベット人権・民主センター)1997年発行

1996年にひどい宗教弾圧が始まるにつれて、チベット人の女性は残酷な弾圧にあわされた。そして、137名の尼僧らが尼寺から追い出されたことが分かっている。チベットの女性、しばしば尼僧を標的にして恣意的な逮捕が続けられ、さらに監獄内にいる間も拷問や酷使の対象としている。現在、判明している1,216名の政治囚のうち、295名は女性であり、また10年以上の服役をしている女性の政治犯は11名である。ある女性は妊娠3ヶ月17日であったにもかかわらず、逮捕された夜の尋問では、列に並ばされて14時間に渡り寒い部屋の中で立たされっぱなしだった。彼女は、尋問者に妊娠中であると訴えたが、その願いは無視され、尋問が続けられた。その結果、次の日、彼女は監獄の便所の中で自分の子どもを流産してしまった。

1997年にチベットの女性に対する強制手術や人工流産の数は883件と分かっており、その結果、1人が死亡し、3名の女性が死産した。その他、たくさんのチベット人女性が妊娠したため罰金を科された。チベットの様々な地域から伝えられた情報によると、厳しい産児制限の基準が作られているという。このことは、特にチベット内への中国人大量人口移動とも関連して、チベット民族の存続に深刻な危機を及ぼしている。

中国の役人によって、子どもは2人または3人と制限されていて、その割り当てを守れなかった者は、厳しい罰金によって処罰されている。その金額は1,500元〜3,000元である。また、制限外に生まれた子どもは、教育、雇用の機会が認められていない。多くのチベット人女性らに子宮内装置が取り付けられていて、この装置について適切な情報を与えられず、彼女らの体内に装置が埋め込まれていることさえ伝えていない。さらに、いくつかの事件の報告によると、体内に設置された装置のコイルの部分が錆びてしまっているか、あるいは肉がその周りに癒着し始めているということだ。

1996年末、ラサ都市のある特定の地域で、既に3人の子どもを産んでいる308名のチベット人女性たちを、約22日間かけて不妊手術した。「チベット自治区」のジャムドゥン町では、16歳以上の全てのチベット人女性に、長期間、避妊用具が導入されたと伝えられている。そのうち、3人の女性は強制手術を受けさせられた結果、死産した。