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在日チベット人と会見、離日

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2010年6月28日東京(チベットハウス)

ダライ・ラマ法王は、11日間の訪日日程の最終日、日本在住の在日チベット人と会見しました。法王は、チベットのことわざ「その土地の川辺に住むなら、そこの決まりを守らなければならない」を引用しながら、留学生に、チベット人の代表として、住んでいる国の法律を守り、きちんとした振る舞いをするよう、アドバイスしました、法王は、「チベットは平和的な文化を持っており、チベット人の評判はどこでも大変良い。私たちの平和で慈悲深い性質を忘れずに保ちながら生きる必要があります」と、述べました。

「私たちの戦いは、正義の問題です。真実は私たちの側にあります。私たちが求めているのは、チベットの文化と宗教の実践が許される、真の自治であります。これは、中国の憲法で守られていることですから、求めていることは正しいことだと自信を持って言えます。チベットは、内面的な価値については先進的かもしれませんが、現代的な教育という点では遅れています。ですから、道徳的な価値を保ちつつ、教育のある現代的なチベット人になるよう、勉学に励まなければなりません」。法王は、このようにアドバイスをしました。

その後、衆議院議員の牧野聖修氏をはじめとする9人の政治家が法王を訪ね、訪日の成功を称えました。

チベット人の集まりにおいて、ダライ・ラマ法王の私的事務局で中国デスクを担当しているツェギャム氏は、現代中国の社会・政治システムのなかで伝統的な価値観が崩壊する懸念が、多くの中国人知識人のあいだで高まっていることに簡単に触れました。

「排外的な国営メディアに煽られ、若年層を中心に極端な民族主義的に走る者がおり、それは問題であり続けているものの、知識人だけではなく、国内外の一般的な中国人のあいだでは、チベット問題に対する関心は高まっています。中国本国の仏教徒は、インドのダライ・ラマの法話に参加するなどして、チベット仏教により大きな関心を払うようになっています。年間500人の中国人がインドを訪問し、法王の仏教法話を学んでおり、昨年は200人以上の中国本土の仏教徒がベナレス(インド)の法王の法話に参加しました。それ以上の数の人が参加を望んでいたが、中国政府の規制により、参加できませんでした。多くの中国の学者、大学教授、作家、芸術家などが、法王に謁見を望んでいます」。ツェギャム氏はこのように述べました。

法王がパリで行った、11人の中国人留学生との会見において、学生は法王と写真を撮って、故郷に持ち帰り、家族と友人にそれを見せて、チベット問題について語りたい、と語った——とツェギャム氏は言いました。そのうち、映画の勉強をしている学生は、自分の父親は人民解放軍に所属し、1956年にチベット人を沢山殺したと述べ、法王に謝罪のメッセージを伝えたといいます。「電話越しに人民解放軍の兵士として自分がチベットで行ったことを息子に語りながら、その父親は泣いていたそうです。出会うすべての中国人と友好的に接してください。それが疑惑と誤解を取り払う一番の方法だからです」と、ツェギャム氏は言いました。

ツェギャム氏はまた、チベット自治区および、四川、青海、甘粛、雲南の四省に住むチベット人は、すべて、共通の歴史、言語、文化、宗教、生活様式を持っている、と述べました。だから、チベット自治区の外に住む4百万人以上の自治を否定するのは、公正さに欠き、正義に反するのみならず、常識からはずれたことである——と述べました。

11日間の訪日日程を無事終えた法王と随行団は、今朝、離日しました。

ダライ・ラマ法王の訪日は大成功でした。到着後すぐに、法王は東京の外国人記者クラブで200人の内外のメディアを前に会見を行いました。その後、法王は、長野の善光寺、西方寺、および横浜の総持寺を訪問しました。また、高校、大学レベルの学生とのトーク・セッションを二度にわたって行いました。横浜での法王の法話には、約1万人が参加しました。参加者の中には、モンゴル、ロシア、韓国、台湾、中国などから、法話を聞くために来日した人もいました。各地で法王は暖かく迎えられ、法王の教えや言葉は大いなる関心を持って受け止められました。


(翻訳:吉田明子)

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序文