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国連の専門家 中国のチベット教育報告書に失望

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(2003年12月20日 チベットネット

国連人権委員会の専門家カタリナ・トマセヴィスキ女史(クロアチア出身)は9月、教育権の特別報告者として中国での事実調査の報告書を第60回国連人権委員会に提出、報告書の中で中国によるチベットの教育政策を厳しく批判した。同報告書は、国連人権委員会の公式ホームページに掲載されている。

22ページにわたる報告書の中で、「チベット内の文盲率が39.5パーセントという事実に驚きを隠せなかった。政治や経済、日常生活にいたるまで北京語が浸透しているという事実が、チベット語の識字検査試験で明らかなったのではないか、という疑問を中国の文部省に投げかけた」と報告し、「人民と少数民族は、教育政策と法律、慣習の権利によって不可分の一体をなすだろう」と勧告している。

さらに今回の事実調査における予算の制限や、北京で10日間の長期滞在を余儀無くされたなどの経緯を挙げ、同報告書の信憑性に疑問があると強調した。トマセヴィスキ女史は、「教育は、少数民族の権利を主張するために、言語や宗教などが少数民族として価値のあるものと認識するために必要である。そうでなければ、教育は少数民族を吸収する道具になり、人権規約の当事国である中国は、国際人権の義務に矛盾していることになる」と、補足している。同報告書は中国の学校内における宗教教育の禁止について、「中国は国際人権の義務に反していることを棚に上げ、公立、私立の両教育機関での宗教教育を禁止し続けている。児童の権利に関する条約における中国の初期の報告書の一文目に『児童の権利の尊厳と保護の徹底』としながら、教育における児童の権利は未だ認められていない」
と指摘している。

「経済的障害を撤廃し、全ての児童に教育の自由を確保するよう、中国は国際人権規約の義務をただちに認識すべき」と勧告し、遂行しなければ文盲者の削減と義務教育の成立を目指す中国政府の目的は達成されないだろうと、報告している。また、特別報告者は中国の教育費予算増加の失敗についても言及し、「教育費の国家予算配分を現状のGDPの3パーセントから最低6パーセントまで引き上げるよう強く求めた。しかし中国は、国際人権法が人権問題において資金配分を第一条件としていることを無視し、国家予算を教育費への投資よりも防衛費への注入に傾倒している」と述べている。

同報告書は、今年(2004年)3月15日から4月23日までスイス・ジュネーブの国連事務局で開催される第60回国連人権委員会で議論される予定になっている。特別報告者による教育権の事実調査という、国連人権委員会の特定の事実調査を中国が受け入れたのは、94年と97年以来3度目になる。94年はチベットおよび中国国内の信教の自由の権利についての事実調査、97年チベット訪問を許された国連人権委の調査隊による恣意的抑留についての事実調査であった。