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国朱鎔基首相が発言「宗教管理を強化へ」

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2000年1月11日
毎日新聞

【北京11日】中国の朱鎔基首相は11日、北京で全国の宗教政策責任者との会合で「党の宗教政策を貫徹し、社会と政治の安定維持に努めなければならない」と述べ、江沢民国家主席の指示に沿ってマルクス主義の宗教観の学習や法に基づく宗教管理の強化などを進めるよう求めた。

中国政府は愛国者として育てられてきたチベット仏教カギュー派最高位のカルマパ17世のインド入りについて表立った批判を避けているが、チベット自治区の分離独立運動に影響を及ぼすことを最も懸念している。朱首相の指示にも宗教政策の破たんが社会の不安定化に結ぶつくことを警戒する指導部の意向が現れている。

中国政府は10日から北京で全国宗教局長会議を開いており、朱首相は出席者の代表と会談した。会議の詳細は公表されていないが、カルマパ17世のインド入りへの対応やバチカンとの国交問題などについても論議された可能性がある。

新華社電によると、会議では民族政策を担当するイスマイル・アマット国務委員が演説し、

  1. 少数民族の宗教を尊重すると同時に、国外敵対勢力が分裂活動を行うことを防ぐ
  2. 開放を拡大する一方、西側の敵対勢力が浸透することを抑える

との2点を強調した。

1.は分離独立運動との関係が深いチベット仏教や新彊ウイグル自治区でのイスラム教、2.はカトリック教会などを念頭に置いた発言とみられ、カルマパ17世のインド入りを受けた中央政府の新たな指示とも受け取れる。

イスマイル国務委員はまた、これまでの宗教政策の堅持を強調する一方、「新たな1年の宗教工作の任務はさらに複雑で重大なものになる」と語り、カルマパ17世のインド入りで年初からつまずいた形の宗教政策に対する危機感をにじませた。