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北朝鮮収容所帰還者へ ダライ・ラマ事務所代表がメッセージ

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1999年11月18日

「北朝鮮泣いている女たち」の著者である李順玉(イー・スンオク)さんと家族が来日し、111月21日東京、22日大阪で、ジャーナリストの櫻井よしこ氏や参議院議員の円より子氏の呼びかけで、北朝鮮の人権と女子刑務所の実態についての講演を行った。
ダライ・ラマ法王日本代表部事務所代表カルマ・ゲレク・ユトクが李さんたちの講演に際してメッセージを送った。

◆◆ メッセージ ◆◆

李順玉(イー・スンオク)さんとご子息の雀東哲(チェ・ドンチョル)さんが北朝鮮の人権と様々な自由の権利における状況についての特別講演を行うため来日されることを知り、嬉しく存じます。私はここに、北朝鮮からの素晴らしいゲストのお2人に、そして講演に参加される皆様に、心からご挨拶を申し上げます。また、講演を企画された日本の方々にお祝いを申し上げる次第です。

李さんのご家族や北朝鮮の方々の苦難の体験を読み、大変胸が痛んでおります。私たちチベット人は、過去、また現在に北朝鮮の方々が幾多の苦しみを味わっていることに、深く同情しております。私たちは、北朝鮮の方々がいつか近いうちに、人間としての尊厳と自由に対する侵害に打ち勝つだろうことを強く望み、また堅く信じております。

幸福と自由という基本的な問題において、人類全て、実際、全ての命あるものは同じであり平等です。私たちは、以下のことについてじっくり考え、答えを出さなければなりません。それは、何故、人類や人類のあるグループが自分たちでいつも苦しみや問題を起こすようなことにかかわるのか、ということです。ここに、人類の最も偉大な徳である知恵と憐れみの心が要求されるのです。

私たち皆が知っているように、この世界における人類の問題のほとんどは、人類自身に端を発しております。もし私たちがそれらの問題を欲しないとするなら、問題の原因となる行為自体をやめなければなりません。問題の原因となることをやめることについて、私たちは、話し合い、協力し、行動を起こす必要があります。こうした努力を意味のあるものとし、それを実らせていくには、私たちは、私たち自身の心を鍛え、非暴力を肯定する態度、寛容の精神、許す心、世界中が兄弟や姉妹であるという意識を発展させていかなければなりません。

6年前から北朝鮮で起きていること全ては、チベットで30年前に起きたことと同じです。また、北朝鮮で現在起きていること全ては、今もチベットで起きていることと同じです。このように、北朝鮮とチベットは悲惨な人間の歴史の過去も現在も共有しているのです。それゆえに、私たちチベット人は、北朝鮮の方々が苦しんでいられることに対し、大変心が動かされ、また理解することができるのです。

北朝鮮とチベットの人々が、早く苦難を乗り越え、自由を持つ幸せと人間としての尊厳を享受することができますように。

1999年11月18日
ダライ・ラマ法王日本代表部事務所代表
カルマ・ゲレク・ユトク