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勉強会/記者会見「昨日のチベット、今日のウクライナ、そして明日は?」 2022年5月26日

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日本、東京、衆議院第二議員会館 第一会議室
ダライ・ラマ法王日本・東アジア代表部事務所
代表:アリヤ・ツェワン・ギャルポ

 

2022年5月17日は、チベットのパンチェン・ラマ11世ゲンドゥン・チューキ・ニマが強制失踪させられてから27年目にあたります。1995年のその日、中国共産党は6歳の少年とその家族を拉致しました。27年経過し、彼は現在33歳になっているはずですが、彼とその家族についての情報はありません。

ロシアによるウクライナ侵攻から3カ月以上経過しました。第二次世界大戦以来、最大規模の難民が発生し、何千人もの人々が殺され、家を失い、建物を破壊されていますが、現在も終戦の見通しは立っていません。これは、民主主義国家における経済とビジネス優先の自己中心的な政策が、独裁的で全体主義的な国家の政府にも自由裁量を与えてしまった結果です。私たちは過去の二つの世界大戦からあらゆる教訓を得ながらも、より賢明にも安全にもなれていなかったのです。

チベットのパンチェン・ラマ11世ゲンドゥン・チューキ・ニマの苦境もまた、民主主義国家における無関心と、弱者いじめや領土侵略の代わりに経済とビジネスを優先してきた結果であると言えます。チベットや他の地域の不法侵攻に対する国際的な沈黙が、中国をつけあがらせ、プーチンのロシアをはじめとする世界中の権威主義的で残忍な政権の台頭を促しているのです。

超大国を自称する国家の政府によって、ある子供とその家族が27年以上も隔離されていることは、不当であり、国際的な規範と理解を超えています。これは子供の権利、人権、信教の自由に対する重大な侵害です。しかし、世界はパンチェン・ラマの事件も、横田めぐみさんの事件と同じように忘れてしまっています。

今日のウクライナは、70年前のチベットのような状態です。国際社会は、中国によるチベット、ウイグル、南モンゴル、の不法侵攻と、ロシアによるウクライナへの侵略を非難すべきです。中国の人々が中国共産党のチベット侵略に同意してないように、ロシアの人々もロシア軍のウクライナ侵略をサポートしていません。

私たちは皆、自由と民主主義、そして法の支配を守るために協力し、この人道に対する罪を犯している独裁者を糾弾しなければならないのです。昨日のチベットは今日のウクライナになりました。もし私たちが独裁者たちをこのまま存続させてしまったなら、明日は誰の番になるのでしょうか!想像は難くありません。

昨年2021年は、中国共産党の創立100周年でした。習近平主席は、この100年間に中国共産党がいかに進歩したか、いかにチベットを奴隷社会から社会主義の楽園に変えたかを自慢げに語りました。私たちは彼の主張に強く異議を申し立てます。もし彼の言うことが本当なら、なぜチベットは外界から閉ざされているのか?なぜチベット人はチベット内外を自由に旅行することが許されないのか? なぜチベットでは電話や携帯、インターネットが遮断されているのかをまず国際社会に説明する必要があります。

ロシアのウクライナ侵攻によって、2つの世界大戦から学んだはずの残酷な教訓を私たちは十分に理解できていなかったことを強く思い知らされました。中国共産党、ロシア、北朝鮮、シリア、ミャンマーなどの独裁政権の台頭と拡大は、私たちが世界秩序の在り方を正しく見通せていなかったことを示しています。

私たちはこの勉強会及び記者会見を通じ、ロシアと中国の指導者に対して以下のように働きかけるよう、世界の指導者と国際社会にお願い申し上げます。

ロシアの指導者に対し、
  1. ウクライナへの侵攻を中止し、占領地からロシア軍を直ちに撤退させること。
  2. この問題を平和的に解決するために、ウクライナおよび国際的な指導者たちとの交渉を開始すること。
中国の指導者に対し、
  1. パンチェン・ラマ11世ゲンドゥン・チューキ・ニマとその家族、および彼の師であるチャドレル・リンポチェを早期に釈放すること。
  2. チベット人の宗教の自由を認め、ダライ・ラマ法王の転生に関する干渉をやめ、国家宗教事務局令第5号を撤回すること。
  3. すべてのチベット人のための真の自治について、中央チベット政権の代表者との対話を開始すること。

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