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元チベット人政治犯のジグメ・ギャツォ師が死去、56歳。獄中での拷問が原因か。

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2022年7月5日
スタッフ・リポーター

ダラムサラ:信頼できる情報筋からの報告によると、2022年7月2日、元チベット人政治犯のジグメ・ギャツォ師が自宅で亡くなった。中国政府の弾圧のもと、彼はチベットとチベット人の権利のために立ち上がり、その堅忍不抜さと勇気で知られていた。彼の死は、拷問、医療の拒否、超法規的処刑、強制失踪などにより死亡した多くのチベット人の死亡例の最新のものであった。

ラブラン僧院の僧侶・ジグメ・ゴリル師としてよく知られているジグメ・ギャッツォ師は、アムド州のチベット自治区カンロ(中国:甘粛省)の自宅で死去した。彼は2016年に刑務所から出所して以来、非常に健康状態が悪かったが、死因は依然として不明である。

別のメディアの報道では、「ジグメ氏が獄中で負った怪我の療養が必要だった際に、彼とその家族が緊急医療を受けることを中国政府に許可されていたなら、命を落とすことはなかっただろう」と述べている。

5月に彼の体調が悪化し、青海省西寧市の医療施設に長期入院したが、効果はなかった。 亡命メディアの報道によると、ギャッツォ氏に関する情報は中国政府によって遮断され、最近の写真などの詳細情報を入手することがますます困難になっているという。

ジグメ・ギャッツォ氏は、2009年に中国当局から受けた残酷な仕打ちを証言した動画がインターネット上で広く流布されたことがきっかけで、注目されるようになった。 動画で彼は、非人道的な殴打を受け続け、何度も入院し、何日も食べ物や水を与えられず、自白を強要され、尋問を受けて瀕死の状態になったという苦難を赤裸々に語っている。

2006年、ギャツォ師はインドで行われたダライ・ラマ法王の宗教儀式に出席し、ラブラン僧院に戻ったところを初めて拘束された。2008年に中国当局が企画したメディアツアーで前代未聞の抗議デモが発生すると、首謀者として逮捕され、警察の留置場で激しい暴行を受けた後、正式な告訴もなく1年後に釈放された。瀕死の重傷を負ったジグメ・ギャッツォ師は、獄中死したことにならないように、速やかに釈放された。

2010年、再び逮捕され、「政治再教育」のため6カ月間宿泊施設に拘束されたが、再び無罪で釈放された。最後に2011年に拘束され、甘粛省のカンロ人民中級裁判所から 「国家分裂扇動罪」で5年の禁固刑を言い渡された。2016年10月26日の釈放後、中国当局は彼の家族に対して出所祝いの会を行わないよう警告した。さらに、ギャツォ師は僧衣を着たり、僧院に戻ったりしないようにと勧告された。

彼は、チベットのアムド州、甘粛省の甘南チベット自治区夏河(サンチュ)県ラブラン町出身。

服役中のチベット人囚人に対する非人道的な拷問とそれに対する不処罰は、刑期に関係なく、中国当局によって日常的に行われている。国際法や条約、中でも中国が執行義務を負う拷問禁止条約においても違法とされているこれらの行為は、しばしばチベット人囚人に酷い怪我を負わせ、時には死に至らしめることさえある。2008年の中国支配に対する蜂起以来、チベット内部で拷問に関連した死亡例は少なくとも 50件確認されている

――国連、EU、および人権デスク、チベット擁護セクション、中央チベット政権情報・国際関係省(DIIR)による報告

オリジナル記事


(翻訳:S.Suzuki)