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中国移民の増加がチベット人の生活を侵蝕

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(2010年8月6日 ダラムサラ)

中央チベット政権が入手した報告によれば、近年、チベットへの中国人の移住が急増しつつあり、それら移民の中には犯罪歴を持つ者も少なからず含まれているという。これによって、地元チベット人は生活の将来展望を失い、チベット文化が育んできた価値観やチベットの社会的安定が危機に晒されている。

中国人のチベット移住は、2006年に鉄道がチベットに乗り入れたこと、および、中国政府がチベット全土で数多くの「開発プロジェクト」を展開していることによって加速されている。

また、2008年の平和的な抗議活動以来、正規およびパートタイムのチベット人被雇用者は就職難に直面し続けている場合が多い。恒久的な住民票を持たずに滞在している、という理由で中国政府が彼らを町から追放し、故郷である牧草地帯や農村部の村に帰らせているためである。

犯罪や反社会的活動を行う中国移民は増加しているにもかかわらず、これを抑止する規制はない。むしろ、苛烈な取締まりや抑圧を受けているのはチベット人である。

チベット人が職を得る可能性が縮小していること、また、チベットにおいて反社会的分子が増えつつあることは、チャムド地区ツァワ・ゾゴン県で本年6月に行われた調査によって裏付けられた。

この調査によれば、中国人は249軒の商店と52軒のレストランを所有しているのに対し、チベット人が所有する商店とレストランは、それぞれ5軒と30軒に過ぎない。現在、5軒の娼館を中国人が所有し、合わせて11軒の賭博場を中国人とチベット人が、また3軒のナイトクラブをチベット人が所有している。特に、売春とギャンブルは若者の間に伝染性の病気や失業をもたらす恐れがある。のみならず、チベット文化が守ってきた価値観や家族の絆にも望ましくない影響を及ぼす。

チベットにおけるナイトクラブやバーの増殖は、チベットの社会的安定とチベット文化の価値観に有害な影響を与えている。

本年、政府は警察職員からボランティアを募り、中国人がチベットで経営する多数のバーの周辺を24時間監視したと伝えられる。これらの中国人の多くは四川省出身である。「サンライト・コンチネンタル・パーティー・ハウス」をはじめ監視の対象となったバーは、ラサ近郊のチャクマ・リンカなど市民がピクニックを楽しむ公園を廃止し、その跡地に建てたものである。これらのバーにやって来て遊興を楽しむ人々の93%は中国人である。7月30日にラサの夕刊が伝えたところによると、中国人が経営する2軒のバーの抜打ち捜査によって、28人のギャング団が検挙された模様である。

また、2009年12月18日には、ラサの中級人民法院において中国移民グループが有罪判決を受けた。中国政府が適切な規制を行っていないため、反社会的分子が野放しになってチベット社会に芳しくない影響を与えているという証左である。


(翻訳:鈴木知子)