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ロブサン・センゲ主席大臣、日本の国会議員にチベットの現状について語る

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2016年1月13日

 

チベット亡命政権の政治的最高指導者ロブサン・センゲ主席大臣は13日、東京の衆議院会館を訪れ、国会議員数名との非公式の朝食会議に出席した。

主席大臣は朝食を取りながら、チベット本土に広がる危機的な政治状況や、氷河融解をはじめとするチベット高原の急激な環境破壊について簡潔に説明した。その中で主席大臣は、「チベット高原の氷河の融解が進んでいるが、それはアジアの主要な河川の源で起きていることであり、バングラデッシュやインドをはじめとするアジア諸国に深刻な影響が及ぶおそれがある」と語った。

主席大臣はまた、2009年以降チベット本土で焼身抗議者が急増していることについて、「抗議者は一貫してダライ・ラマ法王のチベット帰還とチベット人の自由を求めている」と説明した。

さらに主席大臣は、チベット問題の解決に向けて中央チベット政権が遂行する中道のアプローチを支持する声が高まっていることについて、「米国のオバマ大統領や欧州理事会のドナルド・トゥスク議長をはじめ、世界中の指導者が中道のアプローチに対する支持を表明している」と語った。

日本の国会議員の側からは、チベット問題の解決に向けた引き続きの支援と団結の意が表明された。また、チベット問題に対する理解と支援を日本でさらに広げていくためにも、チベット亡命政権の指導者が来日する機会が増えることを望む声が聞かれた。

朝食会議の後、主席大臣は政治ジャーナリストでシンクタンク「国家基本問題研究所」理事長の櫻井よしこ氏と国会議員との会合に出席した。その席で主席大臣は、中国政府に漢民族主義や侵略的ナショナリズムの傾向が見受けられることにふれて、そのような考えかたの危険性について語った。中国国内はもとより、その周辺諸国で危惧される危険を回避するには、中国国内での侵略的ナショナリズムという考えかたをより鎮静的な考えかたに変えていく、いわば文明の転換が必要であり、そのためには仏教的な考えかたが役立つのではないか、と主席大臣は語った。

また主席大臣は、チベット地域はもとより中国本土においても芸術表現の自由が認められていないことについて、著名なアーティストたちが懸念を表明している例をいくつか挙げた。

さらに主席大臣は、中国本土の中国人に仏教徒が増加していること、インドで開かれるダライ・ラマ法王の法話会に参加する中国人仏教徒が増加していることの事実にふれて、非暴力や慈悲というような仏教哲学の助けを借りて中国に変化がもたらされることを願っている、と語った。

また主席大臣は国際社会に向けて謝意を表明し、中央チベット政権ならびにチベット関連機関に対する財政的・倫理的な支援に感謝の言葉を述べるとともに、「チベット本土のチベット人の自由とダライ・ラマ法王のチベット帰還がカシャック(内閣)の主要課題であることは現在も変わりない」と語った。

会議が終わると、ロブサン・センゲ主席大臣はインドに帰国するため成田空港へ向かった。主席大臣の日本訪問は、2012年4月以来2度目。今回は大学での講演をはじめ、昨年新しくなったダライ・ラマ法王日本代表部事務所(チベットハウス)を移転後初めて訪問する機会となった。


(翻訳:小池美和)