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ロブサン・センゲ主席大臣、千葉工業大学でチベットの政治状況について講演

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2016年1月11日
東京

1月11日、日本を訪問中のチベット亡命政権の政治的最高指導者ロブサン・センゲ主席大臣は、千葉工業大学の学生と教職員に向けて講演を行なった。この講演会は、チベット本土に広がる深刻な政治状況を国際社会に広く知ってもらうための活動の一環として行なわれた。

主席大臣は講演の中で、中国政府によるチベット侵略について語り、チベット人の自由を取り戻すために中央チベット政権がどのように取り組んでいるか説明した。

また主席大臣は、中国政府が主張するチベットの統治権や農奴制度からの平和的解放、中国が言うところのチベットの黄金時代についても簡潔に説明した。

このような中国側の主張について、主席大臣は、「チベットが独立国であったことは2千年以上にわたる歴史に書かれていることであり、821年に中国・チベット両国間で平和条約が締結されたことがその証である」と明言した。そして、「その条約を彫り刻んだ石碑は現在も建っている」と述べたうえで、「中国人の歴史学者でさえも中国政府の見解の間違いを指摘している」と語った。

主席大臣は、中国によるチベット侵攻前にはチベット独自の政治体制があり、チベット独自の切手、通貨、裁判制度があったことを説明した。

さらに主席大臣は、中国側が主張する“チベット解放”について説明し、「チベット解放は平和的解放などでは決してなく、むしろ軍事的侵略であった」と述べたうえで次のように語った。

「中国政府はチベット人に発展を約束しました。しかし、中国共産党軍がやってきて、何千ものチベット人を殺したのです。チベット人に対するこの不当な行為はすべてパンチェン・ラマ10世が1963年に毛沢東に提出した『七万語の意見書』に記されています」

主席大臣はまた、チベット高原の氷河融解によって、将来、水を巡る戦争につながりかねない地政学的な緊張が高まっていることに強い懸念を表明した。

さらに主席大臣は、チベット問題の解決を求めて中国政府に対し焼身抗議を行なった142人のチベット人を追悼し、彼らの主な要求はダライ・ラマ法王のチベット帰還とチベット人の自由であるとして、次のように説明した。

「中央チベット政権はチベット人に対し、焼身抗議のような捨て身の行為に走らないよう繰り返し呼びかけてきました。しかしながら、焼身によって中国政府に抗議するチベット人の数は2009年から急増しています。このことから明らかなのは、チベット本土のチベット人が危機的状況にあり、そのような状況において彼らがダライ・ラマ法王への尊敬の念を表明している、ということです」

また主席大臣は、ダライ・ラマ法王の転生者選びの権利を乗っ取ったかのような中国政府の言動とその矛盾を指摘した。

「中国政府は、ダライ・ラマ法王のことを“悪魔”あるいは“僧衣を着た狼”と呼びながら、恥知らずにも、その法王の転生者を見つける権利は自分たちにあると主張しているのです」

続いて、質疑応答が行なわれた。

千葉工業大学は、インド在住のチベット人を奨学生として5人受け入れることを申し出ている。奨学金についての詳細は、後日、正式に発表される予定である。


(翻訳:小池美和)