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レティン即位式典は「政治トリック」亡命政府が批判

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2000年1月18日
ダラムサラ(産経新聞)

チベット亡命政権のタシ・ワンディ文化宗教相は17日、産経新聞とのインタビューに応じ、中国政府がチベット仏教ゲルク派の高位活仏(かつぶつ=生き仏)レティン7世(2)の即位式典を実施したことについて、「政治的動機による即位であり、最高指導者ダライ・ラマ14世の承認は有り得ない」と語った。レティン7世の即位式典は16日、中国・チベット自治区ラサ市の寺で行われた。

ワンディ氏は、チベット仏教の活仏の即位に関して「何人たりとも宗教以外の理由で選択できない」とし、最終的にダライ・ラマの承認があって初めて活仏になれることを強調した。

その例としてワンディ氏は、1995年に中国政府が選んだ高位指導者パンチェン・ラマ11世に言及し、今もチベットの人たちから尊敬の念を持って受け入れられていないことを挙げた。ダライ・ラマは、中国政府とは別に独自にゲンドゥン・チューキ・ニマ少年を11世に認定しており、ニマ少年はその後行方不明のままになっている。

これに対し、今回、中国支配下のチベットを脱出したカルマパ17世は1992年に中国政府とダライ・ラマ14世の双方から認定を受けており、中国政府がダライ・ラマの亡命以来、初めて承認した活仏だ。

ワンディ氏は今回のレティン7世の即位式典がカルマパ17世を失った中国政府の焦りを示していると指摘。「この即位が政治的なトリックであり、宗教的に誤った行為である」と批判したうえで、17世の離脱が中国政府のチベット政策に大きな打撃となっていることを示唆した。

ワンディ氏はまた、亡命政府のあるダラムサラの近くの寺に滞在しているカルマパ17世の亡命認定の可能性について「インド政府はこれまで約十万人のチベット人の亡命を認めており、民主主義の論理からみれば、いずれ政治亡命か、難民認定が受けられると思う」との楽観的な見通しを語った。

ワンディ氏は、カルマパ17世がダラムサラ入りしてから何度も会っており、「言葉は少ないが、14歳の少年とは思えぬほど成熟しており、すでに過酷なヒマラヤ越えの疲れもいえ、体力も回復している」と、その様子を述べた。

また、通常は1カ月間ほど要するヒマラヤ越えを1週間余りの記録的なスピードで成し遂げたことについては、「綿密な脱出計画を立て、多くの側近が支援した。国境を越えた場所以外は、四輪駆動車などを利用したようだ」と述べた。脱出に関連して、中国が17世の警護を務めていた2人のラマ僧を逮捕したとの報道について「極めて遺憾だ」と語った。