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ペンパ・ツェリン首席大臣が日本の国会議員に向け講演:「中国政の弾圧によりゆっくりと死に向かうチベットの文化」

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2022年9月21日
日本、東京
スタッフ・リポーター

衆議院議員会館にて、日本チベット国会議員連盟総会で講演するペンパ・ツェリン主席大臣。

日本、東京:9月21日、ペンパ・ツェリン首席大臣は、日本への公式訪問を開始し、国会議事堂前の衆議院議員会館で行われた日本チベット国会議員連盟総会で講演した。

首席大臣はチベットの深刻な状況について申し立て、チベット文化の現状について、「中国政府の抑圧的な政策のもとでゆっくりと死に向かっている」と懸念を表明した。

チベットが直面している最大の脅威として、チベットの3歳以上の子どもたちの80%が家族や文化的ルーツから強制的に引き離され、中国政府が運営している寄宿学校に収容されていることについて述べた。

「チベットの子供たちは、チベット語の代わりに中国語を学ぶことを強制され、彼らの心を変えることを目的としたプロパガンダを施され、15年から20年後にはチベット人がいなくなってしまうように仕向けられています」と首席大臣は主張した。

さらに、チベットで起こっている文化的大量虐殺、チベット人の文化的・言語的アイデンティティを一掃する政策が猛烈に推進されていることついて、日本の国会議員に説明した。

彼は、日本の国会議員や政府からUNHCR(国連難民高等弁務官事務所)に対し影響力を及ぼし、「新疆報告書」のような「チベット報告書」を提出するように働きかけるよう訴えた。

首席大臣はまた、深刻な懸念として、チベットで加速する気候変動について述べ、18億人のアジア人がチベットを源とする10の大河に淡水を依存していることから、チベットの環境問題はチベット人だけの問題ではなく、アジア亜大陸全体の深刻な問題であることを強調した。

日本政府に対し、チベットの環境の重要性、チベットの気候変動がアジアや世界全体に与える悪影響について、COP(国連気候変動枠組条約締約国会議)などの国際的な組織や二国間・多国間会議で明示するよう訴えた。

首席大臣は、日本の国会議員に対し、ダラムサラに来ていただきダライ・ラマ法王と謁見されるようにと丁重に招待申し上げた。また亡命後、極めて困難な状況下において1年以内に民主化を導入した、ダライ・ラマ法王の並外れたリーダーシップについて語った。

「現在、私たちチベット社会における民主主義制度は、完全に機能しています」と述べ、日本がQUADやAUKUSといった同盟を通じて、民主主義、自由、法の支配といった共通の価値を推進するために、米国やインドといった民主主義国家との関係性を深めていることを称賛した。

さらに、ODAを通じて、日本政府が継続的に亡命チベット人の福祉を支援することに心から期待を寄せていると述べた。

首席大臣はまた、過去何十年にもわたってチベットの大義を支援してきたインド政府への特別な謝意を表明した。

ペンパ・ツェリン首席大臣は、日本での初の公式スピーチを終え、国際社会に対し、ミハイル・フォン・ウォルト・フォン・プラーグ氏の『チベット・ブリーフ20/20』で詳細に述べられているチベットの史実を擁護するよう促した。

「米国議会は、ミハイル・フォン・ウォルト・フォン・プラーグ氏の著作『チベット・ブリーフ20/20』に記されたチベットの歴史的事実を基に、チベットの歴史的地位に関して専門家の証言を聴取し、チベットの紛争は未解決であるとする法案を可決させました。このような歴史的な発見がありながらも、私たちはダライ・ラマ法王の提唱される『中道のアプローチ』、すなわちチベット国内の現状を考慮した現実的な取り組みに尽力し続けています」と首席大臣は伝えた。

また、安倍晋三元首相の逝去について、首席大臣は哀悼の意を表して祈りを捧げ、チベットの大義に対する彼の長年の支援を讃える決議が、最近亡命チベット議会で可決したことを伝えた。

国家基本問題研究所理事長の櫻井よしこ氏は、挨拶の中で、チベット、ウイグル、モンゴルの文化、言語、宗教を意図的に根絶しようとする中国の政策は許し難いと述べ、日本がチベットを継続的に支援することを約束した。

日本チベット国会議員連盟の下村博文会長は、チベット問題は私たちの等しい関心事であると述べ、チベットの文化的、言語的、宗教的アイデンティティの保護のための闘争を増強するために必要なことを、日本が行っていくよう提案した。

ペンパ・ツェリン首席大臣の衆議院議員会館訪問には、ダライ・ラマ法王日本・東アジア代表事務所の代表・アリヤ・ツェワン・ギェルポ博士が同行した。

首席大臣は当日の午前中に日本の空港に到着し、在日チベット人コミュニティのメンバーらの歓迎を受けた。

ペンパ・ツェリン主席大臣を歓迎し、挨拶する日本チベット国会議員連盟・下村博文会長。

衆議院議員会館内の故安倍晋三氏の事務所を訪問し、哀悼の意を表するCTAのペンパ・ツェリン首席大臣。(2022年9月21日)