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パンチェン・ラマ11世ゲンドゥン・チューキ・ニマの強制失踪から27周年を迎えて

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2022年5月17日
スタッフ・リポーター

2022年5月17日、世界中のチベット人、仏教徒、チベット支援者は、中国政府によってチベットのパンチェン・ラマ11世が拉致されてから27周年の記念日としている。パンチェン・ラマとその家族全員のみならず、転生者捜索委員会長のチャデル・リンポチェ師も拉致され、消息不明となっている。それゆえに、この厳粛な記念日の行事は、パンチェン・ラマの拉致という重々しい出来事が、世界で最も長期にわたる強制失踪事件の1つであり、今もなお続いているという事実を想起させるものである。

1995年、最も敬愛されるチベット仏教指導者の一人であるパンチェン・ラマが、6歳の時に中国当局によって拉致された。拉致される3日前となる、1995年5月14日、ダライ・ラマ法王14世は、ゲンドゥン・チューキ・ニマをパンチェン・ラマ11世として認定した。中国当局に拉致されて以来、ゲンドゥン・チューキ・ニマは、世間から隔離されてその姿さえ見られない。こうしたことは、世界人権宣言に謳われている「完全な人格の発達や人権そして基本的自由権の尊重を強化していく教育」を受ける子どもの権利や「養育する子供に与える教育を選択する」保護者の権利を著しく侵害している。中国政府が、子供を誘拐するという政治的決断を下したことで、パンチェン・ラマは、信仰心の厚い人々を正しい方向へと導くために必要なふさわしい宗教教育を受ける権利も剥奪された。

パンチェン・ラマ、家族、そしてチャデル・リンポチェが、強制失踪した状況が今なお継続していることは、個人の市民権の侵害行為である。それのみならず、宗教指導者を任命する権利が、国際法において信条と宗教の自由の絶対的な側面として認められていることに鑑みても、チベットの人々の集団的権利をも侵害している。中国政府が、まったく異なる別の少年を自らのパンチェン・ラマとして任命したことは、次期ダライ・ラマの選定に干渉し、不正に操作する意図があるという確証となる。

米国、オーストラリアそして欧州議会、フランス国会チベット友好協会などその他各国の議会や団体が、パンチェン・ラマの強制失踪の後、直ちに懸念を表明した。多くの国が、中国によるチベットの宗教問題への干渉と、自国候補者をパンチェン・ラマとして強制的に任命したこと等の多くの問題に対して非難する決議や声明を発表した。パンチェン・ラマの強制失踪以来、国連は中国に対し、パンチェン・ラマの所在や健康状態について、信用できる説明をするよう繰り返し求めてきたが、中国は、その要請に応じていない。

多くの政府、国際機関、市民社会団体、そして人権擁護活動家らは、現在33歳となったパンチェン・ラマの釈放を求め続けている。中国政府は、長年にわたり署名、批准した多くの条約や制定した法律を守り、そして国際的な責務を尊重し、遵守しなければならない。
中国政府は、パンチェン・ラマの正確な所在と、健康状況を即時、無条件に明らかにするとともに、パンチェン・ラマを正当な立場に復帰させ、卓越した宗教家としての地位にふさわしい相応な伝統的な宗教教育を施さなくてはならない。
また私たちは、中国政府に対して、チベット仏教徒、ウィグル人イスラム教徒、キリスト教徒など、中国政権下で生活する人々の宗教的慣習への干渉を止めるよう求める。

――国連、EU、チベット中央政権・情報国際関係省・人権デスクによる声明

 

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(翻訳:仁恕)