チベットの核

テルリンカとナクチュカ

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テルリンカ核ミサイル発射用地

もう一つの核ミサイル発射用地は、ツァイダムの南東217キロメートル(北緯36.6度、東経97.12度)に位置するテルリンカTerlingkha)に置かれている。そこでは、DF—4、および大陸間弾道ミサイルが格納されている。アムドには4つのミサイル発射用地があるが、テルリンカはその連隊本部となっている。この発射用地の組織自体は、大ツァイダムと同様に編成されている。

アムドの新ミサイル部門

アムドでは、チベット高原の青海省と四川省の境界上で新ミサイル部門も設立されている。ここでは4基のCCS-4ミサイルが配備されているが、これらのミサイルの射程距離は12,874キロメートルにもおよび、アメリカ合衆国、ヨーロッパ、そしてアジア各国がその範囲に含まれる。チベットの四川省には、合計4つのミサイル発射用地が整備され、その内訳は、ツァイダムに二つ、テルリンカ に一つ、そして青海省と四川省の境界上に一つである。

ナクチュカのミサイル基地

70年代には、核兵器が格納されていることが多数報告されている。報告では、70年にミサイル基地建設作業が、チベット自治区内のナクチュカNagchuka)から北部約16キロメートルのところで行われ、その地域では大勢の中国軍兵員が増強されていることも確認されている。

87年10月14日、オーストラリアの新聞「オーストラリアンThe Australian」に、ナクチュカに核ミサイルが存在するという報告が掲載された。それに続いて、オーストラリア核軍縮党が、87年10月28日、この件に関して大変憂慮していることを発表。20基の大陸間弾道ミサイルと70基の準中距離弾道ミサイルがナクチュカに配備されていることを報告した。

タシ・チャッター氏の新著である「チベットの中国占領軍の配備に関する機密調査(Confidential Study on Deployment of Chinese Occupational Forces in Tibet)(98年)で、ナクチュカに核ミサイルが常時配備されていることが確認できる。ミサイルは、ナクチュカの南東25キロメートルのリスル山の地下で複合施設内に格納されている。リスル用地は、2つの大きな理由により中国政府が開発したと報告されている。1つの理由は、東トルキスタン(新疆)におけるロプ・ノール核実験用地の代わりとなる場所が必要であったため。もう1つの理由は、増強された中国製空爆ミサイルと核兵器の貯蔵だけでなく、実験を行う必要があったためである。ナクチュカには、隔離された用地に配備された空軍としては最大規模のものが駐屯していることが報告されている。

リスル用地と同様なミサイル基地がもう1つ存在する。それはタゴ山(チベット語で馬頭山を意味する)に配備されているが、この山は、チベット自治区ナクチュカ統括部門下にあるニマゾングの東部に位置するペロック峡谷(北緯32.15度、東経87.42度)にある。核ミサイル、非核ミサイルのどちらかが、タゴ山の岩山のトンネルに格納されていると報告されている。この地域一帯は、無人の砂漠地帯として知られ、軍用車両のみが入ることを許されている。


チベット亡命政権情報・国際関係省環境開発部(EDD)発行
「グリーンチベット」1998年ニュースレターより

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