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チベット言語及び文化の絶滅に向けた中国の企て 〜中国の2008年9月25日白書に対するチベット側の回答〜

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(2009年11月13日)

序文


2009年9月27日、中国政府が中国の民族政策についての白書を発表した。今回の白書は少数民族に関する白書としては3番目の白書となる。1つ目の白書は1999年、2つ目は2005年にそれぞれ発表されている。また、2008年9月25日、中国政府はチベット文化の保護と発展に関する白書を発行している。

中国の内閣組織である国務院新聞弁公室(the Information Office of the State Council)から出されたこの最新の白書は、2008年と2009年にチベット及び新疆ウイグルで起こった過去最長にして最大規模の抗議活動を受けて発表されたものである。高まる経済的困窮と民族差別がこれら2つの抗議活動の発端となったが、人々の声は無情にも空前の軍事力によって鎮圧された。

最新の白書は、まるでそれが中国政府から少数民族に送られた誕生日のプレゼントでもあるかのように、10月1日の中華人民共和国60周年の4日前に発表された。少数民族は、中国共産党の支配下で何年もの間耐え続けてきた、この公然と繰り返される非道な隠ぺいを受け入れるのだろうか?この期間中、彼ら少数民族のアイデンティティーは傷付けられ、最悪の場合消去され、文化は破壊され、言語は使用不可となり、より高いレベルでの自由や市民的人権に対する正当な願望さえも次々に抑圧されてきた。

中央チベット政権及びチベット人権民主化センターの代表者からなるグループがインド、ダラムサラを拠点に人権問題に関する監視活動を続けており、具体的にチベットを取り巻く状況を踏まえ今回の問題に対する回答と少数民族が挙げた課題を検証した。

チベットの回答は主に以下の4章にまとめられ、さらにそれぞれの章が複数の副題に分かれている。

(1)チベット語の学習、使用、及び促進状況
(2)チベットにおけるチベット文化の保存
(3)チベットにおける宗教的自由の現状
(4)チベット内での近代科学教育及びメディアの発展

「世界の屋根」と呼ばれるチベットに対して、中国政府が今なお働いている文化的抹殺に他ならない行為を暴く強力な議論を構築するため、膨大な量の証拠が今回の回答に慎重にまとめられている。この証拠は主に中国政府から発信された文書であるが、チベット内部に住むチベット人の口頭または文書による供述も含まれる。亡命したチベット人及び海外のチベット専門家や研究者の見解は意図的に除外された。

チベット人の「より高いレベルでの自由の獲得」にむけた政治的苦闘が、真実と虚偽の狭間での戦いとしてますます国際的認知を得ているように、我々はこの回答が、本来チベット人側にある真実を立証してくれることを願う。


(翻訳:植松雅子・鍋田和司)