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チベット人、 世界銀行に対し中国への融資計画撤回を要請

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2000年6月29日
ワシントン(ロイター通信)

チベットや他方から人々が集まり、世界銀行に対し、6月29日、貧困農民のチベット入植計画撤回を求めるデモが行われた。祈りや歌を歌うなど、注目を引こうと努めた。 ほぼ100名近くのグループには、インド、ネパール、ヨーロッパなどに暮らす亡命者50人も含まれ、堅く閉ざされた銀行本部前に集まった。チベット人は伝統衣装を身につけ、サインボードを掲げた。

「世界銀行、聞こえるか。チベット人は訴えている。計画撤回を!」

「私達は世界銀行が貧しい物を助けるということに反対しているのではない。しかし、文化を犠牲にはできないのである。我々には2500年以上の歴史があるのだから」

チベット舞台芸術団会長であるドルジェ・ジャムヤンはこう言った。

「今日の抗議デモで明らかなのは、銀行が今日のデモに一切耳を貸そうとはしなかったということだ。今日集まった人々は、祖国に戻りたいというチベット人たちの心からの気持ちを代弁していている。チベット人には言論の自由が与えられていないから」

1951年、中国はチベットを併合し、中国政府が統轄している。世界銀行が1億6千万ドルを融資すれば、昨年承認されたものだが、6万人もの貧しい中国農民たちが再定住することになり、チベットの精神的指導者である、ダライラマの生地にも影響が及ぶことになるだろう。

銀行側方針無視

週開けに明らかになった独立評価報告によると、世界銀行は、この融資計画の社会的、環境的に起こりうる諸問題、また少数民族に与える影響などを調査するという世界銀行独自の方針には従わなかったとのことだ。また、民衆の意見に対する配慮を怠り、十分な比較検討をとり行わなかった、といわれている。現在、批評家らは融資撤回を求めている。すでにチベットの亡命者たちは、「文化的虐殺」同等の虐殺を受けて来たのである。

「皮肉なのは、抗議者たちがここにいるのは自分たちの文化を紹介するため、でもこの文化こそ、抹殺されようとしているのだ」インターナショナル・キャンペーン・ファオ・チベットのテレサ ペローネは、文化交流セレモニーにワシントンを訪れている亡命者たちを指し示して、そう語った。

昨年6月の世界銀行委員会以前、初めてこの計画が議題にあがった時には、世界銀行のメンバーである先進国に融資計画に対し反対投票する国もいくつかあった。次の委員会で討論されるのは、7月6日となっている。
「提案が出されてから1年と3カ月の間、調査に調査を重ね、初めてこの融資についての最終決定を下している。」世界銀行アジアスポークスマンのピーター・ステファンは言う。

「非常に難しい政治的事情があるただ中、銀行としても対処のしようがないのである。」世界銀行総裁のジェームズ・ウォルフェンソンは、先週ロイター通信にそう語っている。世界銀行幹部は、融資問題の決定に関与出来なかった。融資を断れば、中国は憤慨するであろう。中国は世界銀行一番の借り手国なのである。