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チベット亡命政権 ダライ・ラマ使節団と中国との対話を歓迎

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(2002年9月17日 AFP)

(ダラムサラ)9月17日、チベット亡命政権は、ダライ・ラマの使節団と中国当局との会談を歓迎するとの声明を発表した。しかし、インドの北西部の都市に拠点を持つチベット亡命政権は、中国で9月16日に開催された両者の会談の内容について詳細を述べることを避けた。チベット亡命政権のスポークスマンはAFPに対し、「外交的な理由のため、使節団が戻るまでコメントを発表することはできない」と回答している。

4人で構成される使節団の訪中は、1993年にチベット亡命政権と中国政府の会談が凍結されて以来、正式な交流を初めて復活したことになる。

9月16日、チベット地域行政議長であるレグチョク氏は北京で報道陣に対し、ダライ・ラマの国連特使のロディ・ギャルツェン・ギャリ前日に会談したと発表した。レグチョク氏は、ギャリ氏にチベットにおける過去50年間の変化と経済的発展について伝えたところ、チベットに数十年間も訪れたことがないギャリ氏は感銘を受けた、と語った。

中国は、ダライ・ラマを「中国の分割」を企てているとして非難し、ダライ・ラマが国際社会でチベットの窮状を訴える様々な活動を行うことに対し、特に1989年にノーベル平和賞を受賞してからは怒りをあらわにしている。9月17日、中国政府はダライ・ラマに対する政策に何ら変更はないことを発表し、ダライ・ラマがすべての「分離主義者」としての活動を終結して中国のチベットに対する統治権を認めるべきだと要求した。しかし、9月17日に発表されたダラムサラのチベット亡命政権の反応は、楽観的なものだった。

チベット人権民主主義センターのツェワン・ラドン
「使節団が会談でたくさんの議題について討議することは間違いない。現時点で、具体的なことは何も発表することはできないし、予測することも困難である。しかし、今回の進展を歓迎し、肯定的な結果が生まれることを期待している。ダラムサラで入手した報告から、チベットにおける中国政府の人権問題の状況は改善していることがうかがえる。逮捕者が出ていることはあまり報告されていない。中国は、目的を達しつつあるようだ。このことは、人権問題の状況が改善されているとの印象を与える。」

祖国の独立を推進するタカ派のフォーラムとして知られるチベット青年会議も、今回の会談を歓迎する意を表明した。
チベット青年会議のケルサン・プンチョク議長
「中国は、進んで交渉を行おうとしているようだ」
チベット情報ネットワーク(TIN)人権グループは、使節団の訪中がダライ・ラマと中国当局との関係に重要な変化をもたらしてくれることを希望しているとし、次のように発表した。
「今回の訪中は、非常に重要な意味を持っている。…今年の初めに6人の著名なチベット人政治犯を早期に解放するなど、(中国)当局側には、最近になってわずかながら何らかの動きが見られる。ダライ・ラマの兄であるギャロ・トンデュップによる7月の北京、およびチベットへの訪問も、中国政府が亡命中の指導者との対話の再開を考慮していることを示唆している」

ダライ・ラマは、1959年に中国政府に対する蜂起に失敗した後、国外へ脱出し、亡命政府を樹立した。中国は、1951年以降チベットを統治してきたが、政治、および信仰の自由を抑圧し、中国の漢民族を大量に移民させることで、仏教に根差した文化を一掃しようとしているとして非難されている。