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チベットの首都ラサで焼身抗議が報じられたツェワン・ノルブ氏が死去。中国当局による極めて厳しい抑圧的状況下での焼身抗議(更新)

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2022年3月12日
最終更新日:2022年3月17日
スタッフ・リポーター
ツェワン・ノルブ氏

2022年2月下旬に焼身抗議を図ったことが報じられた、チベット人人気歌手のツェワン・ノルブ氏(25歳)が死亡したことを信頼できる情報筋が確認した。

亡命チベット社会のメディアの報道によるとツェワン・ノルブ氏は、2022年2月25日、チベットの首都ラサにあるポタラ宮前で焼身抗議を図った。ラサは、世界で最も厳しく監視されている都市の1つであり、中国の警察隊が大量に配備されている。焼身抗議後、中国警察隊はすぐさま現場にかけつけ、彼を連行した。チベットでの情報流通は中国当局によって厳しい調査・監視されているため、彼の焼身抗議の詳細について突き止めることは困難な状況となっている。焼身抗議を図った後の彼の死因も、現時点でも不明のままである。

ツェワン・ノルブ氏の家族は、2022年3月2日、中国警察から彼が死亡したことを知らされた。しかしながら、中国当局は、彼の遺体を家族のもとに返還していない。

チベットでは、焼身抗議を含む中国政府に対する抗議活動が行われると、中国政府は直ちに規制を強化し、ほぼ完全に通信を検閲して抑圧を行う。そのため、このような抗議活動の詳細が何年間も不明のままとなるケースもある。

2015年、チベット東部ナクチュ県ディル郡での抗議行動の後に死亡したチベット人・シュルモ氏(当時26歳)が 焼身抗議を図った件に関しては、昨年、5年以上経過してようやく明らかとなった。

ツェワン・ノルブ氏は、国内外のチベット人コミュニティで人気を博していた新進気鋭のスターだった。ジャンルを超えた才能あるアーティストだった彼は、「ザ・ヴォイス」や「アイドル」と同様の、中国におけるリアリティ番組の歌唱コンテストに出演していた。「ドレス」「ツァンパ」「君の他には」などのヒット曲がある。彼は、数々の受賞歴のある人気女性歌手で、後に中国政府の「歌舞団」にも採用されたソナム・ワンモ氏の息子でもある。

これまで最後の焼身抗議として知られていたのは、2019年11月26日、チベット東部アバで、中国によるチベットの支配とチベット人に対する強硬路線の政策に反対した ヨンテン氏による焼身抗議だった。

2022年3月2日、中国当局は、歌手ツェワン・ノルブ氏の家族に連絡し、彼が死亡したことを知らせた。しかしながら、彼の遺体は家族に引き渡されていない。

――国連、EU、人権デスク、チベット擁護セクション及び中央チベット政権情報・国際関係省(DIIR)による報告

オリジナル記事


(翻訳:仁恕)