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チベットにおける中国共産党の100の残虐行為

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2021年12月23日
アリヤ・ツェワン・ギャルポ著【*】

「チベット侵略 中国共産党の100の残虐行為」表紙イメージ

2021年7月1日、中国は中国共産党創立100周年を迎え、中国の習近平国家主席は天安門広場から1時間にわたって自慢げに、且つ国際社会を攻撃する激しい口調で演説を行い、国民を扇動しました。中国共産党の努力と貢献が「中国の国家と国民に偉大で輝かしい成果」をもたらしたことを賞賛し、100年の間に成し遂げた大規模な発展と現代中国を自慢しました。中国共産党がいかに幸福をもたらし、外国の帝国主義者や貧困から人民を救ったかを人民に再確認させたのです。

「中国人民は、いかなる外国勢力が我々を脅かし、抑圧し、隷属させることも決して許さない。そのようなことをしようとする者は、14億人以上の中国人民が肉と血で築いた鋼の長城に頭をぶつけ、血まみれになるだろう。」と国際社会に警告し、威嚇しました。

14億人のリーダーがこのような傲慢な態度で公式に国民を扇動し、外交上の礼義を無視したことは非常に残念であり、哀れなことです。これは、習近平の弱さと不安定さを裏付けるものです。

その演説の目的は、中国共産党の支配を正当化すること、漢民族のナショナリズムを喚起すること、自由民主主義の世界に尊大な発言をすることの3つに分けて考える事ができます。

習近平がどんな輝かしい主張をしたとしても、真実は「輝かしい成果、幸福、自由の100年」ではなく、「血まみれの恐怖、苦しみ、大量虐殺の100年」だったのです。大躍進政策と中華人民共和国大飢饉(1956-61年)による4,300万人以上の死者、約2,000万人の命を奪った文化大革命、1989年の天安門広場での数千人の中国の若者の殺害など、全てが演説からは消えていました。謝罪や反省の言葉は、一言もありません。

中国共産党創立100周年を祝っているのは、中国でも中国人民でもなく、中国共産党とその人民解放軍であることをはっきりさせておきたいと思います。習近平は、演説の中で何度も中国人民と中国共産党を同一視しています。これは、中国人民や国際社会を誤解させるための意図的な試みです。

中国人民が他国の国民を脅かし、抑圧し、服従させたことがないのは事実ですが、チベット、東トルキスタン、満州、南モンゴルなどの他国の国民を脅かし、抑圧し、服従させたのは、中国共産党とその人民解放軍です。

チベット人にとっては、中国共産党のチベット占領以来、チベット地域は生き地獄となりました。120万人以上の人々が亡くなりました。約6,000の僧院が破壊され、何千人もの僧侶や尼僧が地位を奪われました。チベット高原の軍事化は今まさにピークを迎えています。

チベットでは70年もの間、残酷な占領と文化的大虐殺が行なわれてきました。中国はチベットが中国の一部となった1951年の中共・チベット17ヶ条協定の合意について語っています。しかし、実際には中共・チベット17ヶ条協定の合意は強制的な合意であり、中国共産党自信が侵害したのです。もし中国がこの協定によってチベットを占領する正当性を主張するのであれば、中国はこの協定にある条件を守るべきです。

中国共産党創立100周年にあたり、チベットハウス・ジャパンは、チベット亡命政権ジュネーブ支局、情報・国際関係省(DIIR)チベット博物館と共同で、この日本語版ハンドブック「チベット侵略 中国共産党の100の残虐行為」を上梓しました。東京・飛鳥新社より出版されています。

本書は、70年間にわたるチベットでの中国の残虐行為と蛮行を明らかにし、他の占領地域が中国共産党政権にいかに苦しめられてきたかを示しています。 国家基本問題研究所理事長の櫻井よしこ先生は、チベットで何が起き、そして今何が起きているのかを知るために、この本を推薦しています。

自由な世界の沈黙は、中国共産党指導部を刺激し、チベット、ウイグル、南モンゴル、香港で抑圧的な施策を講じさせています。 また、昨年、中国から流出したとされる新型コロナウイルス感染症の大流行に世界はいまだ苦しんでいます。中国は、国際社会と協力してパンデミックを食い止めようとするのではなく、パンデミックを利用して東南アジア諸国や太平洋において覇権を広げようと野心を強めています。国際社会は、中国共産党の指導者に、占領地での大量虐殺や人権侵害、および世界各地での新型コロナウイルス感染症の流行に対する責任を負わせるべき時が来ているのです。

私たちはこの報告書「チベット侵略 中国共産党100の残虐行為」を日本と国際社会に向けて発表し、中国がチベットを占領していることについて広く周知し、中国共産党の指導者たちに「何を祝うのか、祝うことは何もない」と問いかけます。中国共産党の支配は、すべて残酷な占領、厳しい抑圧、文化的大虐殺であったことを、この報告書で発表します。

2022年の北京冬季オリンピックについて、国際社会はこの本を読んで、中国共産党政権が本当にオリンピックを開催する栄誉に値するかどうかを判断するよう要請したいと思います。

【*】アリヤ・ツェワン・ギャルポ博士は、ダライ・ラマ法王日本・東アジア代表部事務所の代表です。 表明された見解は、必ずしも代表部事務所の立場を反映しているわけではありません。
「チベット侵略 中国共産党の100の残虐行為」裏表紙イメージ