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ダライ・ラマ法王、世俗的価値としての愛と思いやりを強調

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(2009年7月8日 Phayul.com 

(ニューデリー)74回目の誕生日を迎えたチベット仏教最高指導者ダライ・ラマ法王は、祝賀会の席で自身の活動について述べ、海外諸国を訪れる際に行なってきたことは、仏教を広めるというよりはむしろ世俗的な価値観や様々な人生哲学を説くというマハトマ・ガンジーが行なったようなことであると語った。

ダライ・ラマ法王はまた、ガンジーの世俗的思想について、世俗主義が意味するところとは宗教の否定ではなく、宗教を敬い、宗教を信仰しない人をも敬うことであるとして次のように述べた。

「私はこれまで様々な国々を訪問してきましたが、多くの人が言うように仏教を広めてきたのではありません。私は、調和、人権、精神性を広めようとしてきたのです」

ダライ・ラマ法王は、インドに亡命して50年の節目にも、「偉大な思想家たちが広めてきたように、愛、思いやり、尊厳、調和の精神を広めていきたい」と語っている。

ダライ・ラマ法王はまた、仏教とはただ経を唱え、教義に則して生きることではなく、宗教の根本を学び、その哲学的価値を広めることであるとして、
「我々は、仏教を実生活において意味のあるものにしていかなければなりません」と語った。

またダライ・ラマ法王は、チベットがおかれている社会宗教的な変化について、
「チベット地域は困難のただなかにあります。かつてなされていたようには仏教は広められていません。宗教が着々と衰退しているなか、我々が目指しているのは宗教の保護促進です。我々は、チベットとヒマラヤ地域における仏教を強化していけるよう取り組む必要があります」と語った。

インドでの亡命生活50年を振り返り、ダライ・ラマ法王は、「私の人生は無駄になってはいません。私は、宗教指導者、科学者、政治家、実業家、一般の人々など、この50年間に出会った様々な方々から学ぶ機会をいただきました。そのような出会いから、私は人生観を築いてきたのです」と語った。

100歳の誕生日を祝うことになると確信しているというダライ・ラマ法王の言葉に、ヒマチャルプラデシュ州をはじめとするインド各地から集まったチベット人を中心とする聴衆は胸を熱くした。

「みなさんが願ってくださるなら、より長く生きられるでしょう。1000年生きられるかどうかはわかりませんが、100歳までは生きられると確信しています」とダライ・ラマ法王は語った。

またダライ・ラマ法王は、50年に渡って亡命生活を支えてきたインドに対し感謝の念を表明した。

祝賀会には元インド大統領のアブドゥル・カラーム(A. P. J. Abdul Kalam)氏も列席し、2030年にはインドが経済的貧困と水不足から開放されるという自身の見解について述べた。

祝賀会は、ヒマラヤ地域全仏教徒協会の協力の下、デリー、ヒマラヤ仏教文化教会が主催した。


(翻訳:小池美和)