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ダライ・ラマ法王、「勇気と希望をもって困難に立ち向かって」と日本にエール 東日本大震災犠牲者特別慰霊法要のご報告

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(2011年4月29日 東京)

ダライ・ラマ法王は本日、東京・護国寺において東日本大震災犠牲者特別慰霊法要を執り行ない、日本の人々に勇気と希望をもって困難に立ち向かうよう呼びかけた。

ダライ・ラマ法王は、法要に先立って行なわれた記者会見で、日本が巨大地震、巨大津波という未曾有の自然災害のみならず原発の放射能漏れという三重苦の災害に見舞われたことへの深い悲しみを表明し、「インドのダラムサラでこのニュースを知らされたときは、日本の寺院や友人の顔が次々と目に浮かび、悲しみでいっぱいになった」と語った。

法要のはじまりに、ダライ・ラマ法王日本代表部事務所のラクパ・ツォコ代表が、主催者代表として挨拶を述べるとともに今回の法要の趣旨を語った。

ダライ・ラマ法王は法要に集まった人々を前に、「日本が大災害に見舞われたと知ったときは、すぐに駆けつけ、被災された方々を慰め、悲しみを分かち合いたかった」と当時の心境を述べてから、次のように語った。

「今日こうして大勢のみなさまと共に悲しみを分かち合い、命を落とされた方々やそのご遺族、被災された方々のために、共に祈りを捧げる機会をいただけたことをうれしく思っています。
悲劇が起きてしまったからにはどうしようもありません。日本のみなさんは、決して諦めず、困難に立ち向かっていただきたいと思います。
私たちは、災難や困難から学び、これを教訓として活かしていかねばなりません。

日本は第二次世界大戦の廃墟から立ち上がった国です。今回もまた苦しみを乗り越え、現実と向き合い、復興を遂げられるものと確信しています。どうか諦めることなく、困難に立ち向かっていただきたいと思います」

ダライ・ラマ法王の言葉に、多くの参加者が涙ぐんだ。手を合わせ、ダライ・ラマ法王に感謝の念を捧げる参加者も多く見られ、敬意のしるしであるカター(チベットの長いスカーフ)を捧げる参加者も見られた。

ダライ・ラマ法王がチベット人僧侶と共にチベット版の般若心経を捧げると、続いて、日本人僧侶と一般参加者が日本版の般若心経を捧げた。

護国寺の岡本永司貫首は、「被災された方々のためにダライ・ラマ法王と共に祈りを捧げることができたことをうれしく思う」と語り、悲しみを分かち合うために日本を訪れたダライ・ラマ法王に感謝の意を表した。
また、曹洞宗総持寺の江川辰三貫首は、祈りと励ましに対する感謝の意をダライ・ラマ法王に表した。

宗派を超えてチベットの平和を祈念し行動する僧侶・在家の会の林秀頴代表は、ダライ・ラマ法王に感謝の意を表すとともに、「ダライ・ラマ法王が来日される度に日本人は元気づけられている」と述べてから、「祈りには深く強い力がある。大震災犠牲者のための四十九日法要にダライ・ラマ法王をお迎えできたことは大変な光栄であり、深く感謝している。これほど大勢の人たちと共に祈念できたことは、被災地の方々のみならず日本中の人々にとって大きな励みとなるはずだ」と語った。

東日本地域は3月11日にマグニチュード9.0の巨大地震に襲われ、これに伴う津波により未曽有の被害に見舞われた。さらに原発の放射能漏れという問題が現在も続いている。死者は1万4千人、行方不明者は1万3千人を越え、今なお多くの被災者が避難所生活を強いられている。


(翻訳:小池美和)