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ダライ・ラマ 国連の「2000年世界平和サミット」に招待されず

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2000年7月29日

今年8月に国連で開催される「2000年世界平和サミット」には千人以上の宗教指導者が招待されているが、チベット仏教の指導者であるダライ・ラマは、中国の感情を害するという懸念から招かれなかった。1989年にノーベル平和賞を受賞したダライ・ラマは、1959年、中国のチベット統治に対する蜂起後、何千人もの支持者と共に故国を逃れた。

「ダライ・ラマは、『チベットは中国領』という中国側の考えに異議を唱えているため、彼がこの場に姿を現すことになれば、中国は猛烈に反対するだろう」と国連スポークスマンのフレッド・エックハード。また、エックハードは市民団体との関係を監督する国連職員が主催者側にこう忠告したことも伝えた。 「ダライ・ラマを国連に招待すれば、政治的な論争が引き起こされかねない」

今週(7月24日の週)、「2000年世界平和サミット」の主催者側は、国連以外の場所で開催される最後の二日間の日程にダライ・ラマを招待し、ニューヨークのホテルにて閉会演説を行うよう頼んだ。チベット亡命政権アメリカ代表部事務所によると、ダライ・ラマはまだこの招待に返答していないとのことだ。一部のダライ・ラマ支持者は、「この招待は取るに足らず、かつ遅すぎる」と話している。

「普遍的な信教の自由及びチベットにおける信仰の自由を求める異宗教間協議会」の理事ブラーマ・ダスは言う。 「ダライ・ラマへの招待は、他のサミット招待客に出されたような完全なものではない。ノーベル平和賞受賞者であり、世界で最も敬愛されている宗教的指導者のひとりであるダライ・ラマに対して、この扱いである」

ダライ・ラマとノーベル平和賞受賞仲間であるデスモンド・ツツ大司教は、7月28日、アナン国連事務総長宛に、ダライ・ラマへの「全く奇妙で誠に信じられないような」扱いに対する抗議を書簡で送った。南アフリカのケープ・タウンの英国国教会名誉大司教であるツツ大司教は、この平和集会に招待されたが、都合で出席できないことを伝えていた。しかし、ツツ大司教はアナン国連事務総長に宛てたその書簡の中で、こう書き足した。 「私が招待を受諾していたとしても、この非常に悲しむべき異常事態に対するささやかな抗議として、撤回していたことでしょう」

8月28日から31日に開催されるこの「2000年世界平和サミット」に、世界各国の宗教団体の指導者が集い、様々な紛争について話し合い、解決のための宗教に基づいた努力を始める。