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オーストラリア企業がチベット略奪を計画?

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2001年1月19日
マイニング・モニター

オーストラリアの採掘会社とタスマニア大学が、中国占領下のチベットの鉱物資源の将来について重要な役割を担うことになった。北チベットのチョクル・ナムギョル山脈にあるタンジャンサン金鉱の埋蔵量は、最大37トンで、推定約三億三千七百万米ドル相当である。

カナダのプレイサー・ドーム社が初期調査を行った後、タンジャンサン金鉱は、シドニーに本社を置くシノ・マイニング・インターナショナル(SMI)社が管理している。同社は中国国有非金属会社の一部である。現在、SMI社は、金鉱開発の為に千万米ドルの資金を募っている。

オーストラリア・チベット協議会の調査官であるガブリエル・ラフィティによると、SMI社は、カリブ海の英領ケイマン諸島の企業、中国国内の活動、そしてオーストラリア本社の共同により、この計画を成功させるだろうとのことだ。つまり、SMI社は、税金を最低限に抑え、中国内での特権により中国の安い作業費を利用し、また、シドニー経由で、オーストラリアの資金と技術を確保できると語った。

調査では、SMI社は、揚子江流域全て含む中国・チベット境界地域の鉱物資源の商用データベースを開発するために、パスミンコ、ビリトン、ノース、コミンコ及びアングロゴールドの五つの主要なオーストラリア国内及び国際的な採掘会社と合同で、オーストラリア鉱物工業調査企業(AMIRA)を設立した。AMIRAのデータベース作成はタスマニア大学の金鉱調査センターに委託された。これまで厳重に管理されてきたチベットの鉱物資源に関するデータを特別に入手するために、中国の重要な調査機関との合同研究も含まれる見通しである。

チベット北部のタンジャンサン地域は、広大な森林、牧草地、また低山地域の草原を支えている。広大で平坦な肥沃な渓谷は、理想的な牧草地である。これらの丘陵地帯は、寒冷地ではあるものの、水の利がよく、数世紀に渡り、チベットの遊牧民とヤクの拠点であった。しかし、中国政府は、その地域を「未開拓地」と見なしている。

ラフィティによると、森林地帯と放牧地帯だけが、採掘による直接の影響をうけるわけではないという。中国によるチベット領域内で採掘では、必ずと言っていいほど、採掘施設や作業員宿舎のために、近隣地域への深刻な乱伐が行われていると語った。

採掘に加えて、この地域のチベット人は、近隣のゴビ砂漠でのプルトニウム製造及び兵器工場により、退去させられている。また、世界銀行の出資による、中国人イスラム教徒の入植が殺到している。これらの入植者は、チベット内での中国人人口を増加させ、また、近隣地域での開発計画の労働力を提供している。また、入植によるこの地域での人口増加により、開発計画が多数実施され、環境に悪影響を与えている。しかもそれらのほとんどの利益は、チベットから遠く離れた中国の都市部にもたらされるのだ。中国中国政府は、地元チベット社会への医療、教育、職業訓練などのへの投資は、「取るに足りないインフラ」と見なし、最小限に抑えている。

ラフィティによると、このような状況では、金鉱開発の利益のすべては中国政府のものになると心配する。また、社会的、環境的な影響は、その37トンの金鉱が掘り尽くされた後、チベット人が何世代にも渡り長期的にそれらの影響と共に暮らさなければならないという。アメリカの地質学サービスの研究によると、チベットのガンスー(甘粛)、シチュアン(四川)地域には、さらに三十箇所の金鉱が確認されており、SMI社のタンジャンサン金鉱と同規模のものがいくつかあるという。

現在の経済状況で、中国の金の需要は、国内供給量よりも高い。今後、個人の金保有の自由化やこれまで数十年にわたり禁じられてきた金取引の自由化が実施される場合、将来、中国の金の需要は急激に増加することが見込まれる。中国のナショナル・エコノミック・アトラスによると、チベットの最北部には、金に加えて、鉄鉱石、ほたる石、タングステン、アスベスト、石灰岩、クロミウム、及びマグネシウムが埋蔵されているとされている。

’99年、中国のマイニング・インダストリ・ニュースは、銅、鉛、亜鉛、ダイアモンド、ジェード輝石の発見を発表した。もしも、これらの鉱物資源の存在が、発表通りであればSMI社の金鉱開発は、より大規模な採掘の先鞭をつけるものになるかもしれない。

オーストラリア・チベット協議会は、チベット人が、これ以上、軽視され、退去させられることを恐れ、タンジャンサン金鉱と将来の採掘に関し、オーストラリア採掘産業界に異議をとなえている。ラフィティは、チベット人は、渓谷や森林地帯からさらに高地に追いやられるだろうと語る。