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ツォンカパ大師の祖師忌法話会

2021年12月29日
インド、ヒマーチャル・プラデーシュ州ダラムサラ

今朝、法王は、インターネットを介した法話会が中継される居室に入られると、モニターに映った、法王の説法を待ち受ける聴衆に向かって挨拶された。そこで、南インドのムンゴッドにあるデプン僧院ロセリン科学センターの瞑想堂から、2人の経頭が祈願文の読経を開始した。祈願文に続いて『般若心経』が力強く、キビキビとしたリズムで誦経され、法王もこれに唱和された。

法話会冒頭で、南インドのバイラクッペにあるセラ・ジェ学堂の公邸から、法王に宇宙を表すマンダラと仏陀の身・口・意を象徴する供物を捧げる、ガンデン僧院座主のロブサン・テンジン・リンポチェ。2021年12月29日、インド、ヒマーチャル・プラデーシュ州ダラムサラ(撮影:テンジン・ジャンペル / 法王庁)

法話会冒頭で、南インドのバイラクッペにあるセラ・ジェ学堂の公邸から、法王に宇宙を表すマンダラと仏陀の身・口・意を象徴する供物を捧げる、ガンデン僧院座主のロブサン・テンジン・リンポチェ。2021年12月29日、インド、ヒマーチャル・プラデーシュ州ダラムサラ(撮影:テンジン・ジャンペル / 法王庁)

次に、南インドのバイラクッペにあるセラ・ジェ学堂の公邸から、ガンデン僧院座主のロブサン・テンジン・リンポチェがゲルク派の学匠の帽子を被り、法王に宇宙を表すマンダラと仏陀の身・口・意を象徴する供物を捧げた。ツォンカパ大師のご命日に大師を思い起こすための今日の法話会は、ゲルク国際財団の要請によって開催された。法話会冒頭の誦経は『兜率天百尊上師瑜伽』(ガンデン・ハギャマ:ツォンカパ大師を本尊とするグルヨーガ)の祈願文の偈頌によって締めくくられた。

目の前の虚空には、獅子座の上に蓮華座と月輪があり
至高のラマが歓喜の微笑みを湛えて座っておられる
我が心の最勝なる信心の福田となり
教えを広めるために百刧までもとどまってくださいますように

ここで法王はインターネットを介して、聴衆に帰依と発心の偈頌を3回詠唱するよういざない、動機を正すように促された。法王は、今日はガンデン・ガチュー(兜率五供とそつごく)、すなわちツォンカパ大師が入滅された日にあたり、大師をしのぶ日であるが、大師がなされた勉学と修行を讃える機会でもあると述べられた。このことは『兜率天百尊上師瑜伽』の祈願文の随喜の偈に示されている。

この濁世においても多くの聴聞をし、修行に精進され
世間八法を捨て、意義あるものとされた守護者よ
あなたがなされた広大なる行いに
私は心から随喜いたします

法王は次のように説明された。
「経典の教えは説かれ、学ばれるべきものですが、体験に基づく教えは修行を通して継承されます。ですからこの機会に、ツォンカパ大師のご入滅を思い起こし、大師の説かれた教えを心に留めるべきです。大師の教えを讃えるための正しい方法は、それを学び実践することです」

「私の恩深い導師たち、中でも主な家庭教師であったキャブジェ・ヨンジン・リン・リンポチェのお陰で、私は何年もかかって弥勒の『現観荘厳論』とチャンドラキールティ(月称)の『入中論』を暗記しました。またこの2冊の論書の口頭伝授を授かり、今日に至るまで暗唱することができています。それに加えて、私は『入中論自註』を毎日読んでいます」

法王公邸からオンラインで開催された、ツォンカパ大師の祖師忌法話会で説法をされるダライ・ラマ法王。2021年12月29日、インド、ヒマーチャル・プラデーシュ州ダラムサラ(撮影:テンジン・ジャンペル / 法王庁)

法王公邸からオンラインで開催された、ツォンカパ大師の祖師忌法話会で説法をされるダライ・ラマ法王。2021年12月29日、インド、ヒマーチャル・プラデーシュ州ダラムサラ(撮影:テンジン・ジャンペル / 法王庁)

「ツォンカパ大師を心に留めるための一番よい方法は、よく学び、学んだことを自分の心に馴染ませることです。修行とは、宗派によって異なる学匠の帽子のうち、どの色の帽子を被るかといったこととは関係ありません。それはよく学び、学んだことを心の中に馴染ませることなのです」

ここで法王は、最初にツォンカパ大師の『私の目指したことはすばらしい』を読み上げると伝えられた。この著書には大師ご自身が勉学と修行において、どのように進歩を遂げられたかが明かされているが、その集約が以下の第4偈である。

まず始めに、幅広くたくさん教えを聞くことを求め
次に、すべての教えを個人的なアドバイスとしてとらえ
最後に、日夜常にそれを修行し
そのすべてを教えが広まるように廻向した

このテキストは3つの章から成り、最初の章ではツォンカパ大師がいかに幅広く学ばれたかが記されている。次の章では、中期において、すべての経典の伝統的な教えが個人的なアドバイスとして大師の心に刻まれたことが著され、第3章では、最終的にいかに日夜常に修行され、教えが広まるためにそのすべてを廻向されたかが明かされている。

次に、『修行道の三要素』のテキストに移られた法王は、これはツォンカパ大師の近しい弟子のひとりであるツァコ・オンポ・ガワン・ダクバの請願によって書かれた手紙であると説明された。実際に大師は、「もし私の言葉によく従うなら、私が悟りを得た時には、まず、あなたに教えの甘露を授けよう」とガワン・ダクパに約束されている。

テキストは尊いラマへの礼拝文から始まり、出離の心、発菩提心、縁起を理解する智慧、という修行道の三つの要素の要点の説明へと進んでいく。

法王公邸からオンラインで開催された法話会で、『修行道の三要素』を読み上げられるダライ・ラマ法王。2021年12月29日、インド、ヒマーチャル・プラデーシュ州ダラムサラ(撮影:テンジン・ジャンペル / 法王庁)

法王公邸からオンラインで開催された法話会で、『修行道の三要素』を読み上げられるダライ・ラマ法王。2021年12月29日、インド、ヒマーチャル・プラデーシュ州ダラムサラ(撮影:テンジン・ジャンペル / 法王庁)

菩提心を育むことに関連して法王は、チャンドラキールティの『入中論』第6章の最後の3偈を引用された。すなわち、菩薩はこの三界のすべてを無始の時より不生であると理解して、世俗諦の力によって滅諦に赴く。菩薩は守護者を持たない有情に対し、慈悲の心を起こされる。そして智慧と慈悲を象徴する二つの白い翼を広げ、白鳥の王者のように最勝なる彼岸へ飛んでいく。

智慧に関して法王は、ツォンカパ大師が、空を理解するための努力ではなく、「縁起を正しく理解するための努力をしなさい」と助言されていることを指摘された。法王は、これは縁起を理解したときには、“有” と “無” という2つの極端論を同時に払拭することができるからだと明かされた。法王は、対象物を客観的に存在する実体のあるものだと仮定した場合に生じる、論理的な不条理について述べた、チャンドラキールティの『入中論』の3つの偈頌について述べられた。

もし、自相が〔自性、自性によって成立する因や条件に〕依存して生じるならば
自性〔による成立〕はないと考えることによって事物は消滅するため
空性が事物の消滅の因になる
しかしそれは論理に反するので、事物は存在しない(『入中論』第6章34偈)

これらの事物を分析してみるならば
真如を本質として持つ事物以外にとどまる所を見出すことはできない
ゆえに、世間において言葉で述べられた真理(世俗諦)を
分析するべきではない(同35偈)

真如について述べる時
それ自体から、あるいは他から生じることは論理的に正しくない
それは世間の言説においても論理的に正しくない
あなたの言う生成とはどうやって存在することになるというのか(同36偈)

最終的にツォンカパ大師は、「空が原因や結果としてあらわれるさまを知ったなら、もはや極端論にとらわれることはなくなるだろう」と述べられている。

法王公邸からオンラインで開催された法話会で、ツォンカパ大師のテキストを解説されるダライ・ラマ法王。2021年12月29日、インド、ヒマーチャル・プラデーシュ州ダラムサラ(撮影:テンジン・ジャンペル / 法王庁)

法王公邸からオンラインで開催された法話会で、ツォンカパ大師のテキストを解説されるダライ・ラマ法王。2021年12月29日、インド、ヒマーチャル・プラデーシュ州ダラムサラ(撮影:テンジン・ジャンペル / 法王庁)

次に法王は、修行道の段階の要点を簡潔に記した『菩提道集義』(別名『体験のうた』)のテキストを読み上げられた。このテキストでツォンカパ大師は、以下のアドバイスをされている。

すべての教えは矛盾のないものであることを理解させてくれる。すべての教義は個人的なアドバイスであることを教えてくれる。

その後テキストは、六波羅蜜のひとつひとつに焦点を当てながら、読む者が疲れに屈せず安定した精進を続けるように励ましている。そして智慧波羅蜜への言及において以下のことが明らかにされている。

智慧は、深遠なる究極のありよう(真如)を見るための目であり
輪廻の源を断ち、その根を引き抜くための修行道となる

法王は、空の瞑想には一点集中の禅定が不可欠であるが、それだけではなく、分析的瞑想も共に育まなければならないと述べられた。それゆえ、一点集中の瞑想と分析的瞑想を交互に行い、また、この2つを結び合わせて行うことで、両方の瞑想が強化されていく。

テキストの終わりまで読まれた法王は、再度、聴聞して学び、学んだことの意味を省察することの重要性を強調され、学んだことを瞑想を通じて体験することで初めて心の変容が起こる、と説明された。

そして法王は次のように宣言された。
「私たちは皆ツォンカパ大師の弟子です。私が培ってきた体験は何であれ、私たち皆が読むことのできる、これらのテキストを基盤に成し遂げられました。秘訣となるのは、教えを心に馴染ませることです。変化は一晩で起こるものではありません。精進し続けてください」

法話会の締めくくりに、南インドのムンゴッドにあるデプン僧院ロセリン科学センターの瞑想堂で声明を唱える2人の経頭。2021年12月29日、インド、ヒマーチャル・プラデーシュ州ダラムサラ(撮影:テンジン・ジャンペル / 法王庁)

法話会の締めくくりに、南インドのムンゴッドにあるデプン僧院ロセリン科学センターの瞑想堂で声明を唱える2人の経頭。2021年12月29日、インド、ヒマーチャル・プラデーシュ州ダラムサラ(撮影:テンジン・ジャンペル / 法王庁)

法話会の締めくくりに、2人の経頭が声明しょうみょうの先導を開始した。これは以下の出だしで始まるダライ・ラマ1世ゲンドゥン・トゥプの『東方の雪を頂く山々の歌』である。

東方の雪を頂く白き山々の峰の上には
天空高く、白い雲が浮かんでいる
それが見える度に、恩師を思い起こしては
あのようにもこのようにもしてくださったと師のご恩に思いをはせながら
私の心は信心でいっぱいになる

この詩は以下のように続いていく。

私、ゲンドゥン・ドゥプは、怠慢になりがちな性向をもっていたが
今ではもう、私の心はわずかではあっても仏法へと駆り立てられている
それは、あの尊い三父子の方々から受けた深い御恩のおかげである
ああ、恩師たちよ、あなた方の示された大いなるやさしさは卓越している

「私たちは今もジェ・リンポチェの教えに触れることができます。大師の伝授の系譜は途切れなく続いています。私たちがしなければならないことは、これらの教えを実践することです。私を助けるためには、私が読み上げた『菩提道次第広論』の観(優れた洞察力)の章と菩提心の章を実践してください。修行すべきことに心が精通したならば、何度もそれを繰り返し、心に馴染ませていきます。それによって効果が得られ、よき変容が起こるでしょう」

最後は『菩提道次第広論』から、以下の偈を含む廻向の祈願が唱えられた。

至高なる尊い教えが広まっていない場所
あるいは、広まったけれども衰退してしまった場所で
この幸せの宝蔵を輝かせ
大悲に深く動かされた心によって利益をなすことができますように

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