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より良き世界の実現に向けた対話会

2021年4月12日
インド、ヒマーチャル・プラデーシュ州ダラムサラ

今朝、ダライ・ラマ法王は法王公邸から、フランスの「ビー・ザ・ラブ(Be The Love)」というプログラムとカナダのワン・ベター・ワールド・コレクティブ(One Better World Collective:ひとつのより良き世界集団)からの参加者たちとのオンライン対談に臨まれた。最初にソフィア・ストリル = ルヴェ氏が、持続可能な未来への鍵は、競争よりも協調を重視し、人類全体の幸せに貢献する利他的な価値観を持つことにあると述べた。次に彼女は法王に、利他心を育むことによって分断を癒し、世界平和、正義、幸福へと前進するための現実的な方法を説いてくださるよう求めた。

ダラムサラの法王公邸よりダライ・ラマ法王と、フランスの「ビー・ザ・ラブ」というプログラムならびにカナダのワン・ベター・ワールド・コレクティブからの参加者たちとの対話は、ソフィア・ストリル = ルヴェ氏の発言によって始まった。2021年4月12日、インド、ヒマーチャル・プラデーシュ州ダラムサラ(撮影:テンジン・ジャンペル / 法王庁)

ダラムサラの法王公邸よりダライ・ラマ法王と、フランスの「ビー・ザ・ラブ」というプログラムならびにカナダのワン・ベター・ワールド・コレクティブからの参加者たちとの対話は、ソフィア・ストリル = ルヴェ氏の発言によって始まった。2021年4月12日、インド、ヒマーチャル・プラデーシュ州ダラムサラ(撮影:テンジン・ジャンペル / 法王庁)

「現在、私は86歳です」と法王は話し始められた。
「私は人生を通じて、様々な戦争において非常に多くの流血を見てきました。暴力のもたらす結果は、苦しみとさらなる憎悪だけです。それは、私が欧州連合(EU)を称賛する理由の一つにもなっています。歴史的に欧州連合参加国のいくつか、特にフランスとドイツは、何世紀にもわたり戦争を繰り返してきました。しかし第二次世界大戦終結後、彼らは近隣国を敵とみなしていたのでは決して良い目的に到達できないと気づいたのです。かつて戦争中にどれだけ多くの命が失われたか、そして過去70年間の平和な時代にどれだけ多くの人々が救われたか、考えてみてください」

「現在、私たちは人類全体について考える必要があります。もはや自分の国や自分が属する大陸だけを考えていたのでは不十分です。世界全体を含めて考えなくてはなりません。私たち全員が世界経済の一員であり、私たち全員が気候変動や地球温暖化の脅威にさらされているという認識が必要です」

「基本的に、私たちは皆同じ人間です。肌の色、目の形、鼻の大きさなど些細な違いはあるかもしれませんが、感情や意識に関しては皆同じです」

「私は、人類はひとつであるという認識を広めることを使命としています。チベットにいた頃の私は、実際のところ祖国チベットの人々のことだけを考えていたと思います。しかし、インドに亡命して以来、異なる地域からやってきた様々な人々と出会い、友人となりました。そして私は、人類は皆同じであると気付いたのです」

フランスの「ビー・ザ・ラブ」というプログラムとカナダのワン・ベター・ワールド・コレクティブからの参加者たちとのオンライン対話会で、開会の辞を述べられるダライ・ラマ法王。2021年4月12日、インド、ヒマーチャル・プラデーシュ州ダラムサラ(撮影:テンジン・ジャンペル / 法王庁)

フランスの「ビー・ザ・ラブ」というプログラムとカナダのワン・ベター・ワールド・コレクティブからの参加者たちとのオンライン対話会で、開会の辞を述べられるダライ・ラマ法王。2021年4月12日、インド、ヒマーチャル・プラデーシュ州ダラムサラ(撮影:テンジン・ジャンペル / 法王庁)

「すでに申し上げたように、私たちは世界全体について考えることが重要です。それこそが現実的なアプローチの方法です。人類は一つの人間家族であるということに気づかなくてはなりません。宗教、人種、国籍の違いなどは、私たち全員が同じ人間同士であるということに比べたら二次的なことに過ぎません」

「宗教的な人間かどうかは個人の問題です。ただ、すべての伝統的宗教が愛と思いやりの重要性を説いているというのは事実です。このことは、異なる宗教が共存可能であることを示しています。それゆえ私は、宗教間の調和促進を自分の使命としています」

「私は友人である皆様方全員に、より幸せな世界、より幸せな人間性の構築に参加していただきたいと思います。さあ、それでは皆さんからの質問を受け付けましょう」

ワン・ベター・ワールド・コレクティブのイアン・スパイアーズ氏が質疑応答の開始を告げ、ダライ・ラマ法王とフランスの「ビー・ザ・ラブ」というプログラムと、カナダのワン・ベター・ワールド・コレクティブの参加者たちとの対話が行われた。2021年4月12日、インド、ヒマーチャル・プラデーシュ州ダラムサラ(撮影:テンジン・ジャンペル / 法王庁)

ワン・ベター・ワールド・コレクティブのイアン・スパイアーズ氏が質疑応答の開始を告げ、ダライ・ラマ法王とフランスの「ビー・ザ・ラブ」というプログラムと、カナダのワン・ベター・ワールド・コレクティブの参加者たちとの対話が行われた。2021年4月12日、インド、ヒマーチャル・プラデーシュ州ダラムサラ(撮影:テンジン・ジャンペル / 法王庁)

ワン・ベター・ワールド・コレクティブのイアン・スパイアーズ氏は、今回の参加者は6つのグループに分類されているため、グループごとに自己紹介をした上で代表者が法王に質問すると説明した。

まずはじめに、若い活動家たちのグループからビビアン・ハー氏、ラヒーン・ファティマ氏、クローバー・ホーガン氏が自己紹介し、クローバー氏が法王に「どのタイミングでご自身が責任を担おうと決意なさいましたか?そう決意したのはなぜですか?」と質問した。

これに対し法王は、自分は幼少のころから一切有情に対して思いやりを持つよう訓練を受けてきた宗教的な人間である、と答えられて次のように述べられた。
「亡命後の私は、世界の様々な地域から来た大勢の人々とお会いし、人間は誰もみな精神的、肉体的、感情的に同じであると気付きました。ところが世界では、いたるところで分断が生じ、紛争や暴力起きています。過去の時代であれば、人々が自国の中に限られた狭い視野で生きているのは普通のことでした。しかし現在、私たちは世界全体について考えなくてはなりません。そうすることが現実的であり、実際的な利益をもたらすからです」

ダライ・ラマ法王とのオンライン対話会で、法王に自己紹介をする若い活動家たちのグループの参加者。2021年4月12日、インド、ヒマーチャル・プラデーシュ州ダラムサラ(撮影:テンジン・ジャンペル / 法王庁)

ダライ・ラマ法王とのオンライン対話会で、法王に自己紹介をする若い活動家たちのグループの参加者。2021年4月12日、インド、ヒマーチャル・プラデーシュ州ダラムサラ(撮影:テンジン・ジャンペル / 法王庁)

「どこへ行こうと、誰と会おうと、私は相手の方を同じ一人の人間として見ています。他の人々を見るとき、“自分たち” と “彼ら” とに区別するのは時代遅れの考え方であり、問題を引き起こす原因となってしまいます」

次のグループのマイケル・レンダー氏は、なぜ多くの場合、恐れが愛を凌駕してしまうのかと質問した。これに対し法王は、狭い視野に立った考えは非現実的であり、世界全体について考えることの方がずっと重要であると述べられた。

フランスの「ビー・ザ・ラブ」プログラムとカナダのワン・ベター・ワールド・コレクティブからの参加者とのオンライン対話会で、「キラー・マイク」という芸名で知られるマイケル氏の話に耳を傾けられるダライ・ラマ法王。2021年4月12日、インド、ヒマーチャル・プラデーシュ州ダラムサラ(撮影:テンジン・ジャンペル / 法王庁)

フランスの「ビー・ザ・ラブ」プログラムとカナダのワン・ベター・ワールド・コレクティブからの参加者とのオンライン対話会で、「キラー・マイク」という芸名で知られるマイケル氏の話に耳を傾けられるダライ・ラマ法王。2021年4月12日、インド、ヒマーチャル・プラデーシュ州ダラムサラ(撮影:テンジン・ジャンペル / 法王庁)

続いてのグループからはベアトリス・マルタン氏が、平等を促進させ実現する方法について質問した。

「私たちは皆、同じ人間です」と法王は述べられた。
「確かに男性と女性にはわずかな違いがあります。一般的に女性は腕力があまり強くありません。しかし、例を挙げれば、仏陀も男性と女性は平等であるとみなしておられました。知性に関して言えば、男女に違いはありません。男性と女性の脳にも違いはないでしょう。私たちは男女平等の実現のために、力を尽くさなくてはなりません。もし宗教的な信念や伝統的な習慣がその前に立ちはだかるとしたら、それを変える時が来ています。もっと大きな視野から見れば、男性と女性は互いを必要としています。そして平等であることを必要としています」

次に、影響力を持つ女性達のグループのモジダ・ジャマルザダ氏は自己紹介の中で、祖国アフガニスタンは分断され消耗しきっていると法王に述べた。ステファニー・ベネデット氏とスーザン・ロックフェラー氏も自己紹介し、ロックフェラー氏が法王に、女性たちが自分自身、他者、地球を助けるにはどうすればよいかと尋ねた。

「私は人々が温かな心を育むよう奨励したいと思っています。私たちが生まれるとすぐに、母親は世話をしてくれます。母乳も与えてくれます。女性たちは、多かれ少なかれ男性よりも他者の感情に敏感であると思います。女性たちは生まれつき、より思いやり深いように思います。ですから女性たちに、もっと活発になってもらわなくてはなりません。私は女性の指導者が増えると世界はもっと安全になるのではないかと考えています。フィンランドやニュージーランドで女性の指導者が成し遂げたことを見てください」

フランスの「ビー・ザ・ラブ」というプログラムと、カナダのワン・ベター・ワールド・コレクティブからの参加者との対話の中で、質問に答えられるダライ・ラマ法王。2021年4月12日、インド、ヒマーチャル・プラデーシュ州ダラムサラ(撮影:テンジン・ジャンペル / 法王庁)

フランスの「ビー・ザ・ラブ」というプログラムと、カナダのワン・ベター・ワールド・コレクティブからの参加者との対話の中で、質問に答えられるダライ・ラマ法王。2021年4月12日、インド、ヒマーチャル・プラデーシュ州ダラムサラ(撮影:テンジン・ジャンペル / 法王庁)

私たちは皆、平等な権利を持っています。私は今、女性が公的な活動においてより多くの責任を担うべき時が来ていると思います」

5番目のグループからはベテラン歌手で平和主義者のバフィー・セントメリー氏が、女性蔑視に慈悲をもって立ち向かうにはどうすればよいかと尋ねた。

「教育によってです」と法王は答えられた。
「女性は価値が低いとか、女性は劣っているという考えは変えなくてはなりません。より平和な世界を実現するには、女性が女性としての役割を果たすことができる立場や状況に置かれていなくてはなりません」

次に、平和活動家のグループからはシューテズカトル・マルティネス氏、マッシー・ホワイトナイフ氏、エマニュエル・ジャル氏が自己紹介をし、グループを代表してスーダン難民であるエマニュエル氏が、法王は亡命によって負ったトラウマをどのように克服されたのかと質問した。

「1954年に中国を訪れた時、私は毛沢東や他の共産主義の指導者達が一般労働者の幸福に向けて取り組む姿に感銘を受けました。しかしその後、彼らが権力を行使し、チベットに暴力的な弾圧を加えたことで重大な問題が生じ、私たちは亡命することとなりました」

「私たちは全員、人類はひとつの人間家族であるという文脈に沿って、平和に人間らしく生きるべきです。私たちは中国人とチベット人の違いを強調するようなことはしません。私たちは、危険が迫っていたのでインドに亡命しました。そして、インドの国境で古い友人達に迎え入れられました。その後、私はパンディット・ネルー氏に会いましたが、彼はとても協力的で、私たちが子供たちの教育を再開し、僧侶や尼僧達のための学問施設を再建できるよう援助してくれました」

「私は亡命者であると同時に、インド政府の客人でもあります。私たちは、インドにおいてチベットの文化を保存し継承できることを大変嬉しく思っています。その文化は、8世紀にシャーンタラクシタがチベットに仏教をもたらして以来続いてきたものです。シャーンタラクシタは根本的に、理由と根拠に基づいて分析するという訓練に依存してナーランダー僧院の伝統を確立されました。その結果として、私たちは科学者たちとともに働く良い関係を確立することができたのです」

「もし難民になっていなければ、私たちの視野はずっと限られた狭いものになっていたと思います。亡命者となったことで、私はより合理的になったと思います」

ミキソー・クリー・ファースト・ネーション(Mikisew Cree First Nation:カナダの先住民の一部族)であるマッシー・ホワイトナイフ氏は、彼らの伝統である愛、尊敬、勇気、正直、智慧、人間性、真実は、人類と地球を救うことができるかと尋ねた。

法王公邸からネット中継された対話の中で、ダライ・ラマ法王に質問をするカナダの先住民の一部族のマッシー・ホワイトナイフ氏。2021年4月12日、インド、ヒマーチャル・プラデーシュ州ダラムサラ(撮影:テンジン・ジャンペル / 法王庁)

法王公邸からネット中継された対話の中で、ダライ・ラマ法王に質問をするカナダの先住民の一部族のマッシー・ホワイトナイフ氏。2021年4月12日、インド、ヒマーチャル・プラデーシュ州ダラムサラ(撮影:テンジン・ジャンペル / 法王庁)

法王は、一般的に先住民の方々は、他の人々よりもずっと自然に近い生活をされていたと述べた上で次のように語られた。
「私たち生き物は、究極的には自然に依存して生きています。ですから、母なる自然を守り、自然と近しい関係を築くべきです。私たちは往々にしてテクノロジーがすべての問題を解決してくれると思い込み、やりたい放題してしまいがちです。しかし、もっと自然の力に頼るべきです。例を挙げれば、化石燃料を燃やすエネルギー生産を削減し、風力や太陽光発電に切り替える必要があると思います」

ラヒーム・ファティマ氏が、法王が自分と同じような若者だった頃に革命的であったかと質問したのを受けて、法王は、ご自身が若い頃に科学と技術に興味を持っていたことを認められた。法王が毛沢東と対談した際、彼は法王の科学的な考え方を称賛したが、その後、法王の目をじっと見つめ、宗教は民衆にとってアヘンであるときっぱりと断言した。それを聞いた法王は、顔にこそ出さなかったがショックを受けた。法王は中国滞在中に社会主義の素晴らしさを学んだが、実際に社会主義がもたらしたものは、個人の自由ではなく厳格な政党支配であった。

法王はステファニー・ベネデット氏に対して、自分はナーランダー僧院の伝統にのっとって修行してきた僧侶であり利他の心を培っているので、たとえ世界に苦しみが満ちていても、笑ったり喜びを感じたりすることができるのだと述べられた。法王は朝起床するとすぐに利他の心を起こし、すべての事物は相互依存(縁起)によって生じているという認識を新たにされている。こうすると、心に深い平和がもたらされる。

通常のやり方で物事に取り組むと問題が起きるが、平和で幸せな心で臨めばより多くの成果が得られる。心配したり意気消沈したところで役に立たない。思いやりのある利他心こそが役に立つとして、「私は、熱意を持つこと、そして他者と経験を共有することが重要だと信じています」と法王は語られた。

バフィー・セントメリー氏は、リンゴの成熟を早めるのは難しいが、人々の成熟を早めるのは可能なのではないかと述べた。これに対して法王は、人類は母親から愛と慈悲について学ぶのである、と繰り返して述べられた。
「科学者たちは、人間は社会生活を営んで生きていく類いの動物だと言っています。私たちは生来、自分の属する社会に関心を持っています。温かな心は社会に心の平安をもたらします。また、温かな心は、怒り、嫉妬、恐れの解毒剤となります。あなたが怒り続けていたら、誰もあなたのそばに居たいとは思わないでしょう。しかし心が平和であれば、友人はあなたのまわりに自然と集まってきます。これは、誰でも知っていることです」

法王公邸からのネット中継で、ベテラン歌手のバフィー・セントメリー氏の質問に答えられるダライ・ラマ法王。2021年4月12日、インド、ヒマーチャル・プラデーシュ州ダラムサラ(撮影:テンジン・ジャンペル / 法王庁)

法王公邸からのネット中継で、ベテラン歌手のバフィー・セントメリー氏の質問に答えられるダライ・ラマ法王。2021年4月12日、インド、ヒマーチャル・プラデーシュ州ダラムサラ(撮影:テンジン・ジャンペル / 法王庁)

イアン・スパイアーズ氏は、法王と話すことができて光栄だと述べた。ソフィア・ストリル = ルヴェ氏は、法王、法王庁ならびに今回のオンライン対話会の実現に尽力したすべての人々に向けて謝辞を述べた。

「法王のたゆみない人類への愛の奉仕は、インスピレーション、勇気、希望の源泉です。どうぞ、お身体を大切にして元気でお過ごしください」

これを受けて法王は、「またお会いしましょう。人間として兄弟姉妹である私たちは、人類のさらなる幸せと平和に貢献する責任があります。そのことを皆さんのご友人とも共有してください。変化は、一歩ずつ段階的に起こります」と答えられた。

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